「う゛っ!」

一歩中に入った途端、サリーは声にならない声をあげた。

大理石張りと思われる玄関ホールは吹き抜けになっており、高い天井には日の光を浴びてキラキラと輝くシャンデリアが吊り下げられていた。
そこに屋敷の使用人と思われる者達が綺麗に列をなし、レヴ達を出迎える。



「おかえりなさいませ!」

その声の後、使用人達の列の後ろから年配の男女が現れた。



「レヴ、ずいぶん遅かったじゃないか!」

「父上、母上…
ご心配をおかけしました。」

「心配なんてしてませんよ。」

「そうそう、便りのないのは元気な印っていうからな。
お友達もいらして下さったのか。
さぁ、そんな所に突っ立ってないで早く中へ入っていただきなさい。」

レヴは両親とどこかへ行き、サリー達はメイド達に違う部屋へ案内された。



(どこに連れて行かれるんだろう?)

(わかりませんが、今は、ついていくしかありませんね。)

(大丈夫かな?)

(それは大丈夫ですよ。)

やがて、三人は別々の部屋に通された。



「あなたはこの部屋をお使い下さい。」

「えっ?!
こ、こんな広い部屋をあたし一人で?」

「まぁ、おかしなことを…
お食事まではまだ時間がありますが、ご入浴されますか?」

「あ、あ、そうだね。
そうするよ。」

「では、今すぐご用意を…」

「え〜っ!い、いいよ、そんなの。」

サリーの言葉を聞くこともなく、メイドはテキパキと準備を始めた。
その様子にサリーも諦め、ふかふかの大きな長椅子に腰かけた。



(あ〜あ、大変な所に来ちゃったよ…)

サリーが、入浴を済ませるとそこには冷たいシャンパンが用意してあった。



「お口に合えばよろしいのですが…」

「合うよ!合うよ!
こんな上等そうなシャンパンは初めてだよ!」

サリーは上機嫌でシャンパンのグラスを傾けた。


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