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ジネットが出ていくのを見届けると、サリーがひょっこりと顔を出した。



「危なかったね…
でも、気付いてなかったみたいだね!」

「あぁ…本当に間一髪だったな。
で…どうだった?
あの写真の人物は森の民だと思うか?」

「いや…あれは残念ながら普通の人間だね…
あたしの推理は当たってなかったか…
でも……」

サリーの視線が、何かを思い出そうとするように宙をさまよった。



「どうかしたのか?」

「…なんか、あの人、どこかで見たような気がするんだよね…」

「どこか…?
有名な人物かなにかなのか?」

「それが、よくわからないんだよね〜…」

「気のせいではないのか?」

「…う〜ん…そうかもしれないね…」

そうは言ったものの、サリーはやはりどこかで見たような思いを拭い去ることが出来なかった。
しかし、それがどこだったのかはまるで思い出せない…

(やっぱり気のせいなのかなぁ…?)



小一時間すると、ピエール達が外出から戻って来た。
それもそのはず、最初にピエールが言っていた通り、このあたりにはこれと言って見るもの等ないのだ。

相変わらず、店を訪れるお客もほとんどいない。
店の奥で、皆でお茶を飲みながら他愛ない話に花が咲く。



「もう行ってしまうのか…
あっという間じゃったなぁ…」

「ピエールも、気が向いたらレヴの家に遊びにおいでよ!
どうせお客もめったに来ないんだしさ。
レヴの家は広そうだから、泊めてもらえるよ!
ね!」

「ええ、いつでも歓迎しますよ。」

「ありがとうよ、レヴさん。
ところで、しばらくはレヴさんの家にいるつもりなのかい?」

「……どうなんだろう?」

レヴにも、他の者にも、この先の計画はまだ特に固まって葉いなかった。



「うちならいつまでいてもらっても構わないぞ。」

「そういうわけにもいかないじゃないか。
ジネットの大切な人も探さなきゃいけないし、兄さん達の研究もあるからね。」

「それはそうだがな。
かといって急ぐ旅でもあるまい。」

「そりゃあそうだけどさぁ…」

「今すぐに予定を決めないといけないってわけでもないですし、レヴさんのお宅に着いてから決めたらいかがですか?」

「そうだな。
とりあえずは、今までの旅の疲れをゆっくりと癒してくれ。」

「楽しみだなぁ…お坊ちゃまのレヴの家…
相当立派なもんだろうなぁ…」

サリーの頭の中は期待ではちきれんばかりに膨らんでいる。


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