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「ピエール、ひさしぶりなんだしもうちょっとつきあってよ!
最近、飲んでないしさ…
酒はあるかい?」

「ああ、ワインならあるぞ。
食事の時に飲まんかったから不思議に思っとったんじゃ。」

「偏屈な兄さんが、酒飲むのをいやがるんだよ。
だから、最近はほとんど禁酒状態さ。」

「おまえさんが、禁酒とはな…
変わったもんじゃなぁ…」

ピエールの言葉に、サリーは苦笑する。



サリーがワインを取りに台所に向かったちょうどその時…
その隣のジネットのいる部屋から声が漏れ聞こえた。



(…ジネット…まだ起きてたのか…)

音を立てないように、サリーが慎重にドアを押してのぞいてみると、ジネットは写真に向かって何かを呟いている。
サリーは耳を澄ましてみたが、声が小さくて何を言っているのかは聞き取れなかった。
震える肩は、ジネットが涙を流しているように見えた。
そして、その写真を愛しそうに胸に抱き締め、そしてバッグの中にそっとしまった。



(……きっと、あれはジネットの恋人の写真なんだ!)

サリーは、ヴェールとレヴに今、見たばかりの話を早速伝えに走った。



「そういうことだから、明日の朝、朝食の準備をしてるうちにあんたがジネットの写真を確かめるんだ。
わかったね!」

「なんで私が…
そんな泥棒のような真似はしたくないものだが…」

「そんなこと言ってる時じゃないだろ!
あんたがいつも一番働かないんだから、姿が見えなくても自然なんだよ。」

酷い言われようにレヴのプライドは多少傷付いたが、それが事実であることもわかっていた。
仕方なく、レヴは、その嫌な役目を引き受けることにした。


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