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「あ、あぁ…そうなんですよ。
私達は複雑な生い立ちの兄弟ですから…
巡り合うまでにいろんなことが…なぁ、ヴェール…」

「…そ、そうなんです。
いろいろ大変だったのです…」

「…そうだったんですか…」

「そ、そうそう。みんないろいろあるってことさ。」

レヴは咄嗟にサリーの言葉への助け舟を出し、ヴェールもすぐにそれに気付いて話を合わせて、なんとかその場を取り繕った。



「皆さん…本当にありがとうございます。
私、諦めませんわ!
あせらずに頑張ってあの方を探します…!」

「そうだよ。
私達にも出来る事があれば手伝うからさ!
一緒に頑張っていこうよ!」

「ありがとう、サリーさん…!」

その晩の夕食はいつもにも増して、楽しいものとなった。







「…レヴさん…実はあなたにお渡ししたいものがあるのです。」

部屋に戻ると、ヴェールがレヴに小さな革袋を差し出した。



「これを私に…?」

小さな革袋から出てきたもの…
それは奇蹟の十字を持つスタウロライトだった。



「これは…!
森の民の護り石ではないか…」

「その通りです。
子供が生まれた時に、その子の無事と幸せを祈りながら、その子の波動にあうものを探して護り石にするそうですが…
この石は自分の大切な人への護り石としても使われるそうです。
とはいっても、森の民は生まれつき自分の護り石を持ってますし、今までに持ち出されたのはアベルさんが持ち帰ったほんのいくつかだけだということです。
それも、キャストライトですから、スタウロライトが森の民以外の人の手に渡るのは、おそらくレヴさんが最初です。」

「そんな大切なものを…良いのか…?」

「私は、あなたには言い尽せない程お世話になってますから…
ディサさんも、すぐに賛成してくれました。
満月の夜の儀式の次の日、私は採掘場でレヴさんの波動にあう石を探し…みつけたのがこの石だったのです…」

「…そうだったのか…
あの時、屋敷にいなかったのはこの石のためだったのだな…
ありがとう…ヴェール…」

「いえ…これからもどうぞよろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしく頼む…
あ……」

レヴは掌のスタウロライトが急に熱くなるのを感じた。


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