13
次の朝、三人はピエールの町を後にした。
一旦、レヴの屋敷に戻り、リーズの実家へはそこから馬車で行くことになった。
「おじさん達、喜ぶだろうね!」
久しぶりのレヴの屋敷。
ここは、いつの間にかレヴだけではなくヴェールやサリーにとっても様々な想い出のある場所となっていた。
門を入り、お気に入りのあの蒼い湖を見ながら三人がレヴの屋敷の前を通りすぎようとした時…
バタンと屋敷の扉が開いた。
そこに立っていたのは、白いドレスを着た一人の女性…
レヴとその女性の視線が絡み合った時、すべての時が一瞬止まった…
「リーズ!!」
「レヴ様!」
お互いのその声が、再び、時を動かし始める。
リーズは駆け出し、レヴの胸に飛び込み、レヴはその身体を強く抱き締めた…
「リーズ…目を覚ましてくれたんだな…!」
「レヴ様……これは本当のことですか?
私…また、眠ってしまってるんじゃ…」
「…これは現実だ…
ほら、私の鼓動が伝わるだろう…?
私にも君の鼓動がはっきりと感じられる…
……しかし、それでも私にもまるで夢のように思えるよ…」
「レヴ様…
私…夢でもかまいません。
こうしてお会い出来たのですから…」
「私もだ…リーズ…」
二人の唇が熱く重なる…
今までの時間を埋めるように甘く激しく…
「リーズ…君の唇は、いつも涙の味がするな…」
「でも、涙は涙でも嬉し涙の味だったでしょう…
レヴ様…私、まだ信じられません…」
「リーズ…私も…」
「ちょっと、あんた達!!
あたしらがここにいることを忘れてるんじゃないのかい!」
サリーの大きな声に、リーズは目を丸くする。
「サリーさん!!それにヴェールさんも…!」
「うわ〜〜…本当に見えてなかったんだ!?」
「わ、私ったら…どうしましょう…」
久しぶりに皆の顔に笑顔が戻った。
暗い闇の中に一条の光が差しこむように…
四人は再会を喜びながら、母家への道を歩いて行った。
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