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三人は、次の朝、宿を発ちジャックの妻の住む町へ向かった。

帰りは来る時よりは幾分早く帰れたが、それでもかなりの時がかかった。

ジャックの妻は、レヴ達の報せにひどく落胆した様子だったが、はっきりしたことがわかったことで気持ちの整理がつきそうだと語った。
彼女は近々、あの火山を訪ねるつもりだそうだ。
そうなれば、ジャックの魂も少しは癒されることだろう…
そう考えると、レヴ達の重い気持ちもわずかに軽くなった。

それから、三人は馬車を手配し、徒歩と馬車を乗り継ぎながら、ようやく西の森の近くに着いた。







「やっと、ここまで来たね、あぁ、長かった〜〜…
でも、明日には西の森に着くね!
ヴェール、嬉しいだろ!
久しぶりのジネットに会えて…」

「サリーさん、からかわないで下さいよ!」

「もしかしたら、もう赤ん坊が産まれてるかもしれんな。」

「え〜っと、あたし達に白状したのが妊娠一ヶ月位目だったとしたら…え〜っと…あ!本当だ!
もうそろそろ産まれる頃だね。
早産だったりしたらもう産まれてたりして〜〜!
わぁ、どんな子なんだろう?
男の子かな?女の子かな?
楽しみだねぇ!」

次の日の夕刻、三人は西の森に着いた。



「久しぶりだなぁ…
なんか、最近、ここに来ると故郷に帰ってきたような気分になるよ。
……あ!!ヨンネだ!
ヨンネ〜〜!」

サリーの大声に気付いたヨンネが駆け寄ってくる。



「ヴェール様!皆様、お帰りになったんですか!」

「ねぇねぇ、ヨンネ!
ジネットの赤ちゃんはもう産まれたの?」

「まだです。
予定日まではあと一週間か十日程ではなかったでしょうか?」

「まだだったんだ!
間に合って良かったね、ヴェール!
あんたが付き添ってあげたら、ジネットも喜ぶよ。」

「付き添いは出来ません…」

「えっ?なんで?」

「それについては、ディサ様に詳しくお聞き下さい。
とにかく、早くディサ様のお宅へ…ディサ様もきっとお喜びですよ。」

ヨンネにせかされるようにして三人はディサの家へ向かった。


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