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「ジャックのことは可哀想だったけど、魔石のことが解決したのは良かったよね。」

「素直に喜べるものではないが…
ヴェールに危害が加わらなかったことを考えると、私も正直ほっとしたよ…」

「レヴさん、そんな…」

「ヴェール…
君にはジネットさんとこれから産まれてくる子供という大切な人がいるのだ…
それに、君は森の民を導いていく立場にある人でもあるのだぞ。
出来ることなら、魔石の処理も君に変わって私がやりたい所だが、残念ながら私には君のような特別な力はない…
だから、実の所、とても心配していたのだ…」

「レヴさん…」

レヴがどれほど自分のことを想っていてくれたかを改めて感じ、ヴェールの胸は熱く震えた。



「その通りだよ、ヴェール…
これからのあんたはあんただけの身体じゃないんだから、危ないことはもうやめることだね。
……そうだ!レヴ!
もしかしたら、リーズが目覚めてるかもしれないよ!!
西の搭の魔女が言ってたじゃないか。
魔石のことが解決する時、きっとリーズは目を覚ますって…!」

「リーズが……」

「なんて顔してるんだよ!
明日になったらここから一番近い馬車道を探して、馬車でお屋敷に帰ろうよ!」

「……いや…それはまだだ…」

「なんでだよ!
もう魔石のことは片付いたのに…」

サリーの言葉はもっともなことだった。



「ジャックさんの奥さんに報せてさしあげなくては…」

「……あ……そうか……」

「辛い報せではあるが…わかった以上、放っておくわけにはいかぬ。
それから、あの町から馬車の通る道を探して、どこかで馬車を調達して西の森へ向かおう。」

「西の森へですか…?
リーズさんの所ではなく?」

「今からでは出産に間に合うかどうかはわからないが、ジネットさんも君がそばにいてくれた方が安心なさるのではないか?」

「そりゃそうだ!
パパが付き添ってくれてたら、赤ちゃんもきっと喜ぶよ!」

「……パパ……ですか?」

ヴェールは、戸惑いながらもとても嬉しそうな笑みを浮かべる。



「そうだよ!あんたはあと何ヶ月かしたらパパなんだよ!
しっかりしなきゃね!」

赤くなったヴェールを見て、レヴとサリーは声をあげて笑った。
そんな二人につられて、ヴェールも照れ笑いを浮かべた。

ジャックは気の毒だったが、気にかかっていた魔石のことが解決し、産まれてくる赤ん坊のこと、リーズの回復への期待…
三人の心は幸せで暖かい気持ちで満ちあふれていた…



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