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「あぁ〜っ!やっと越えたね!」

「話に聞いていた通り、かなり大変な道程でしたね。」

「しかし、景観は素晴らしかったではないか…」

「レヴ!これから、魔石退治に行こうって時にえらく余裕持ってるじゃないか。」

「そういうわけではないがな…」

結局、山を越えるのに五日間という時間がかかった。
聞きしに勝る深い山だったのだ。

しかし、地図によるとここからはなだらかな道が続いているとのこと…
三つ目の町まではさほどの日数はかからないと思われた。
ところが、運の悪いことに渡るべき橋が壊れて流されており、迂回をして進む羽目になってしまったのだ。
そのおかげでさらに予定は遅れ、教えてもらった町に着いたのは二週間程が経った頃のことだった。

遅れた時間を少しでも取り戻すため、三人は町に着くなり噂の金持ちの家を探し歩いた。

あのエメラルドの話はこの町でも有名な話らしく、金持ちの家はすぐにわかった。
その男は、このあたりで手広く商売をしていたジョルジュという男だとのことだった。

三人はすぐさまジョルジュの家を訪ねた。
中年の女性が出迎え、突然の訪問にも関わらず快く三人を家に招き入れた。



「突然申し訳ありません。
私達は宝石にまつわる不思議な話を調べている者なのですが、こちらでエメラルドに関するおかしな出来事があったと聞いて、お話をうかがいにまいりました。
もし、よろしければ、詳しいお話を教えていただけないでしょうか…?」

「……あんな宝石を買ったりするから主人は……」

そう言って、女性は、突然肩を震わせた。



「亡くなられたのはご主人様なのですか?」

「ええ、そうです。
彼は、昔から骨董屋や露店で変わったものをみつけるのが好きな人でした。
そして、自分が支払った金額よりも価値のあるものだとわかると、自分には目利きの才があると自慢するんです。
子供っぽいことですが、それが彼には楽しくてたまらないようでした。」

「そうだったのですか…
それで、ご主人はそのエメラルドをどこで?」


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