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三人は屋敷に帰ると、思い思いに時を過ごした。
眠いはずなのになかなか寝つけない。
満月の夜の儀式と、森の墓所の印象がまだ心を動揺させていたのだ。
ヴェールはどこかにでかけたようで屋敷にはいなかった。



「ねぇ、レヴ、ヴェールはどこに行ったんだろうね。」

「ディサさんと話でもあるのかもしれんな。」

「それで……やっぱり、明日、発つのかい?」

「そうだな。
ジネットさんをあまり長く待たせるわけにもいかないから、そろそろ発たねばなるまいな。」

「そうだね…ちょっと名残惜しいけど…」

「ここが気に入ってるのか?」

「もちろんだよ!
こんな所で静かに暮らすのも良いかもしれないって思うよ…」

「それは意外だな。
ここにはアルコールはないようだが、それでも良いのか?」

「最近はほとんど飲んでないよ!」

「そういえば、そうだな…
では、森の民の誰かと結婚すれば良いのではないか?
ただ…森の民にそんな物好きな男性がいるとは思えんが…」

「あぁ、どうせそうだろうよ!
繊細な森の民が、私みたいながさつな女、相手にするわけないよね!!」

サリーは口をとがらせながら、部屋を出て行った。



(…これからも彼等はずっとこうして人間の目から逃れながら生きていくのだろうか…
ヴェールのような者が増える方が良いのか、それとも、そういう子供はもう生まれない方が良いのか…)

気付くと、レヴはふとそんな物思いにかられていた。

自分の運命を呪い、ずっと心を閉ざしてきたヴェール…
森の民でありながら、完全な森の民ではなく…
人間でありながら、完全な人間ではない…

どちらの側にいっても不完全で、だが、そのどちらでもある個体…





(…ヴェールは、その命を終えた時、木として新たな再生を迎えるのか…それとも、ただ朽ち果てていくのだろうか…?)


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