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「……いえ、残念ですがそれは出来ません…
私にはやるべきことがありますから…
ディサさんにはいずれまた正式にお話しようと思います。」

「その通りです。
母もこんなことは予想していなかったと思いますが、ヴェールさんと一緒に帰ったりしたら、ヴェールさんにご迷惑をかけたといってきっと叱られますわ。
母はああ見えてとても厳しい人なんです。」

「そうですか。
では、くれぐれも気を付けて帰って下さいね。」

「あ!ジネット!
森の民も赤ちゃんは十ヶ月で産まれて来るのかい?」

「いえ、私達は八ヶ月で産まれます。」

「じゃ、あと七ヶ月でヴェールもパパになるんだね!!
レヴ、先を越されたね。」

サリーがそう言って、レヴの背中を叩く。



「そうだな。」

サリーやレヴにとっては思いがけないニュースだったが、とても嬉しいニュースだった。
ヴェールには守るべき人が二人も出来てしまったのだ…
魔石に関わる事で、ヴェールに何事かが起こっては大変だ。



(これまで以上に気を引き締めていかなくては…!)

レヴは幸せそうな二人を見つめながら心の中でそんなことを考えていた。







「じゃ、気を付けてね〜!」

次の朝、ジネットは旅立った。



「ジネットさんのことは気になるが、ちょうど良いタイミングでもあったな。
魔石の影響でもあれば大変なことになる…」

「私もそう思います。
ジネットさんが西の森にいてくれたら、私も安心です。」

「ジネットさんはいつ頃着くだろうか?」

「行きとはルートを変え、出来るだけ馬車を使うように言っておきましたから、一ヶ月もすれば着くと思います。」

「さすがに馬車は早いね。
なんであたし達が行く場所は、馬車も通らないようなへんぴな町ばっかりなんだろうね。」

「そういえば、エメラルドを買ったお金持ちがいた町ですが、意外と遠そうですよ。」

「えっ!まさか、また山を越えるとかじゃないだろうね?」

「その通りです。」

「え〜〜〜っ!」

「まあ、そういうな。
おかげで足が丈夫になって良いではないか。
さぁ、旅に必要なものの買い出しにでも行こう。」


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