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「あの…ヴェールですが…」

まわりを気遣い小さな声をかけながら、ヴェールは扉を叩いた。



「ヴェール!
今、のってきたとこだから邪魔しないでおくれよ。
あたし、今夜は徹夜で勉強するから、あんたは私の部屋で休んでよ。」

「そ、そんな、サリーさん!それは困ります。」

その言葉に返事はなかった…
仕方なくヴェールは再びジネットの部屋に戻った。



「そうなんですか。サリーさん、一生懸命なんですね。」

「申し訳ありません。私はここにいますからジネットさんはお休みになって下さい。」

「では、私もここにいますわ。お話でもしてましょうよ。」

ジネットはそう言ったが、緊張のためか二人の間に言葉はなかなか出てこなかった…



「どうしたんだ、ヴェール、それにジネットさんも目が真っ赤だぞ。」

「眠れなかったもので…」

「楽しいおしゃべりが尽きなかったってことかい?
良かったじゃないか。
あたしも昨晩は頑張ったから眠いよ…」



サリーのことだから時期に飽きるだろうとヴェールは考えていたが、意外にもレヴとの徹夜の勉強会はそれからも続いた。

数日が経った頃、サリーは自分の荷物をレヴとヴェールの部屋に持ち込んだ。



「サリー、どうしたんだ?!」

「どうせ毎晩ここで勉強するんだから、これからはあたしレヴと一緒に部屋を使うよ。
あんたはジネットの部屋を使っておくれよね。」。

「そんなこと…ジネットさんにご迷惑ですよ!」

「……いえ、私は迷惑だなんて…」

頬を染めるジネットが小さな声で呟いた。



「ほら、ジネットもこう言ってるじゃないか。
じゃ、そういうことで…」






「サリー、少しやりすぎじゃないのか?」

「平気、平気!」

心配するレヴとは裏腹に、サリーは自信ありげに大きく頷いた。



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