「え?
ええ、ええ、確かそんなことでしたね。
私には難しくてあまりわかりませんでしたが…」

「まぁ!そんな難しい病気をすぐに見抜くなんて、よほど優秀なお医者様だったのですね!」

「そうだね!
あのお医者さんに出会わなかったら、きっとレヴは死んでたね!
変な所で運が強いんだよね、レヴは。」

レヴはその言葉に苦い笑いを浮かべる。



「それはそうと、ジネットさん…
森へはいつ戻られるのですか?
ここから、西の森へは近いですが…」

「そういえば、森の民の皆は、今、西の森にいたとおっしゃいましたね?」

「そうです。
そこであなたのお母様にもお会いしました。」

「おかしいわ…
私が行った時には誰もいなかったのに…」

ジネットは、そう言って小首を傾げる。



「あなたは最近西の森に帰られたことがあるのですか!?」

「ええ…あなたに護り石をお渡しするまでは森へは絶対に帰れない。
ずっとそう思っていましたが、どうにもたまらなくなって…
いけないことだとは思いながら、一目だけでも森の民の姿を見たいとこっそりと帰ったことがあるのです。
でも、誰もいなかった…
私が南の森を出た少し前に森を移ることはほぼ決まっていたのですがどこへ移ったのかはわからなかったので、ここではないのだろうと落胆して帰ったのです。」

「それはいつのことです?」

「レヴさんのお屋敷に帰る前に、皆さんがご親戚のお家に行かれた時ですわ。」

「あぁ……」

「あの時ですか…ジネットさん、申し訳ありません。
実はあの時、私達は西の森にいたのです。」

「西の森に…?
でも、私が行った時は…」

ジネットは、納得のいかない顔でレヴをみつめる。



「わかりました!
レヴさん、もしかしたら、あのミサの日のことではないでしょうか?
あの時は全員が森の奥に集まってたじゃないですか!」

「ミサ…ですか?
まさか、森の民の誰かが亡くなったんですか!?」

「…ええ、そうです。
私の祖母・マイユが少し前に…」

「マイユ様が!?
そんな馬鹿な…
マイユ様はオルガ様がお小さい時に亡くなられたと聞いてますが…」

「それが、そうではなかったのです…
祖母は、母がまだ小さい時に事故に遭い、記憶を失っていたのです。
幸いなことに親切な人間のご夫婦に救われ、森の中で暮らしていたそうなのですが、その祖母と私達は旅の途中で出会うことが出来たのです。
考えてみれば、奇跡のような話ですね…」


- 153 -
しおりを挟む


[*前] | [次#]
ページ:



戻る







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -