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「…母さん…」

ヴェールがこんなにも自分の感情を顕わにしたのはこれが初めてのことだった。

今まで心の奥底に封じこめていた感情をすべて吐き出すように、ヴェールは泣き続けていた…

レヴはヴェールの涙の意味を理解した。
だから、何も言わず、何もせず、ヴェールが落ちつくまでただじっと見守っていた。



……しばらくしてやっとヴェールの涙が止まった…
レヴはハンカチを差し出し、ヴェールの肩を軽く叩いた。



「すみません…取り乱してしまって…」

「いや…久しぶりの再会なのだ…無理もない…」

「…何?再会?
一体どういうことなのさ?」

サリーは、不思議そうな顔でレヴをみつめた。



「ディサさん…
こここそが、森の民の墓所なのですね…?」

「…その通りです。」

「…つまり…森の民は亡くなると木に生まれ変わる…ということなのでしょうか?」

「…おっしゃる通りです…
生まれ変わるという言葉が適切かどうかはわかりませんが…」

「えっ!?
それじゃ…この森にある木はみんな…」

サリーの言葉に、レヴは深くうなずいた。



「じゃ…じゃ…
このちっちゃい若木が……」

サリーはまだひ弱に見える小さな若木の前に跪き、感極まった顔をしていたかと思うと、ぽろぽろと涙を流し始めた。



「…ネリー…
やっと…やっと、イルヤナさんのそばに来れたんだね…
良かった…本当に良かったよ…
ネリー…ありがとう…
あの時は本当にありがとう…!」



(…あの時…?!)

レヴにはそれが何のことかはわからなかったが、サリーの隣にひざまずき、同じようにネリーに祈りを捧げた。

続いて、二人はイルヤナ、そしてヴェールの母であるオルガの木に祈りを捧げた。


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