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「そうでしたね。」

ジネットはバッグから薬草を取りだし、サリーの傷の手当てをした。



「さっき、あたし、この先で転んじゃってさ…
それで、ジネットが薬草を取ってくるって言って…」

「そうだったのか…それであの時…
ジネットさん、本当に申し訳ありませんでした。
でも、写真以外には何も触ってはいませんから…」

「本当にすみません。」

「良いんです。
おかげでこんなに良い結果になったんですもの…」

「あ〜〜っ!そうだ!
ジネットが森の民だったら、ヴェールも気兼ねなく、ジネットに愛の告白が出来るんじゃないの?」

「サ、サ、サリーさんっっ!
何を言ってるんです!」

「あれ〜?
ヴェール、顔が真っ赤だよ。
あれ、ジネットもどうしたのさ…
これじゃあ、二人とも森の民じゃなくてりんごの民だよ。」

そう言いながら、サリーはにやにやと微笑んだ。



「こらっ、サリー、よさないか!」

「ちょうどここは愛の町だし、二人で洞窟にお願いしてきなよ!
さ、レヴ、あたし達は先に宿に行って待ってようよ。
邪魔しちゃ悪いからさ!」

「お、おいっ、サリー…そんな…」

レヴは引きずられるようにして、サリーに連れて行かれてしまった。

その場には赤い顔をしたヴェールとジネットが取り残され、二人の間には気まずい沈黙が流れる…



「あ…あの…ジネットさん…」

沈黙を破ったのはヴェールの方だった。



「サリーさんの言ったことは気になさらないで下さい。」

「わ…わかってます…
あれは、サリーさんの冗談なんですよね…」

「い、いえ…」

「…え…?」

「……冗談ではありませんが…お気になさらないで下さい…」

「冗談では……ない……??」

「………えぇ……
私が…あなたを好きだというのは………本当です…」

「えっっ!」

ジネットの顔はますます熱さを増した。



「でも、私は森の民…
それに、あなたには大切な方がいらっしゃると知り…ずっとその気持ちを押さえてきました。」

「そんな…まさか……」

「本当です…
初めて会った時から、私はあなたが…好きでした。
恥ずかしいんですが…あなたは私が生まれて初めて好きになった女性です…」

「ヴェールさん…」

ジネットは、ヴェールの胸に飛び込んだ。



「ジ、ジネットさん!」

いきなりのことに戸惑うヴェールにジネットは言った…



「私も…私もあなたと同じ気持ちでした。
あなたに初めてお会いした時から、あなたのことが気になって…
でも、私もあなたとまるで同じことを考えていたのです。
私は森の民…
そんなことがバレたら、気味悪がられるだけだと…」

「ま、まさか…
ジネットさん、本当なんですか!?」

「ヴェールさん、恥ずかしいからこっちを見ないで…
本当です…
私…本当にあなたのことが好きでした。」

「ジネットさん!」

ヴェールは、ジネットの身体を強く抱き締めた。
叶うはずがない…いや、好きだと言うことさえ叶わないと思っていた二人の恋が、今、まさに花開こうとしていた…


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