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「ジネットさん、あなたが探してる人について詳しいことを教えて下さらなかったのはこういうことだったんですね…」

「そうなんです…
こんなことは、とても信じてはもらえないと思ってましたから…」

「すべてを打ち明けてくれてたら、すぐにみつかったのに!」

「……しかし、言えるわけないですよね…」

「言ったら、一緒に旅をさせてもらえなくなると思ってました…」

「馬鹿だね!
あたしやレヴが、そんなこと気にするとでも思ったのかい?
あたし達はそういう細かいことは気にしないの!
人間でも森の民でも、そんなことは関係ないさ。」

「サリーさん…」

ジネットの瞳にまた大きな涙の粒が溢れ出す。



「ジネットさん、サリーさんの言う通りですよ。
現にこうして私もずっと一緒に旅をさせてもらっているんですから。
私があの森を出られたのも、森の民に会えたのもすべてはレヴさんとサリーさんのおかげなのです。」

「しかし…私達がヴェールをあの森から連れ出したことが却って、君と森の民との距離を広げてしまったのだな…
あのまま、君があそこにいたら、ジネットさんはすぐにその石を君に渡すことが出来、君は森の民に会えることが出来ただろうに…」

「いえ、それは違うと思いますよ。
あの頃の私なら…きっとどんなに説得されてもあの森から離れなかったと思います。
頑なに拒んで、あの森で一生を終えていたと思うのですよ。」

「…そうかもしれないね。
あの時のヴェールは、今とはずいぶん違ったからね。」

「そうなんですか?」

ジネットは、不思議そうな顔をサリーに向けた。



「あの頃の私は、何の希望も持たずに生きてましたから…
生きているのは身体だけで心は死んでいたのかもしれません。」

「…良いではないか…
今の君はそうではないのだから…」

「本当にそうですわね。
今のヴェールさんからは想像もつきません。
…あ!それでは、皆さんは森で母に会われたのですか?」

「そうです。
そこで、ディサさんの娘さんがヴェールに護り石を渡すためにヴェールを探していることを知りました。
それで、私達もその娘さんを探そうということになったのですが、まったく手掛かりがなく…」

「こんな近くにいたのにねぇ…」

「さっき、写真を見てるお二人を見た時はものすごくショックでしたが、あのおかげですね…」

「あんたら、本当にやることが遅いんだよ!
でも、ま、今回はそれが良かったわけだけど…
あ!ジネット!すっかり忘れてたよ!これ、これ!」

サリーは傷付いた自分の膝を指差した。


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