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ジネットはヴェールの胸に顔を埋め、子供のように泣きじゃくる…
ヴェールは、そんなジネットの背中をずっと抱き締めていた。

レヴとサリーには、ジネットの涙の理由がわからず、そんな二人をただみつめるだけだった…



「……取り乱して申し訳ありません…」

ジネットはレヴの差し出したハンカチで涙を拭った。



「大丈夫かい?ジネット…」

「はい…」

「わぁ!!
ヴェールのシャツは大丈夫じゃないね!
ジネットの涙でびしょ濡れだよ!」

「あ…すみません。
私……あの…どうしましょう…」

「大丈夫ですよ!
ここは風通しが良いから、こんなものすぐに乾きます。」

「ジネットさん、とりあえず宿へ戻りましょうか?」

「…いえ…
ここでお話します…
今まで話せなかったことのすべてを…」



(……すべて……?)

レヴにはそれが何なのか、見当も付かなかった。



「でも…なにからお話しようかしら…」

「では、ジネットさん、まずはあなたがなぜその写真を持ってらっしゃったのですか?」

「この写真は…シャルロさんにいただいたんです…」

「あ〜〜〜っ!」

「どうした、サリー?」

突然発せられた大きな声に、三人の視線はサリーに集まった。



「そうだ!
あたし、この写真見た時、なんか見たような気がしたんだけど…そうだよ!
シャルロの店で見たんだ!」

「なぜ、シャルロさんはこの写真をあなたに?」

「……それは、私が案内人さんのことを聞きに行ったからです。
シャルロさんはこの写真は案内人さんのお父様の写真だとおっしゃって、もし、案内人さんに出会えたらこの写真を渡してほしいと言われたのです。」

「ですが、昨日、シャルロさんは店に来たあなたは以前案内人のことを聞きに来た人ではないと言われた…」

「それは……」

ジネットは昨日のからくりを白状した。



「…まいったな。
ジネットは頭が回るんだね。
あたし達、すっかり騙されたよ…」

「でも、私も心配だったんですよ。
シャルロさんに見透かされてしまうんじゃないかと…
それで、わざわざ黒蝶貝を持っていってもらったり…」

「なんで、黒蝶貝を?」

「あれは、サリーさんが下さったものですから、サリーさんのイメージがシャルロさんに見えるんじゃないかと思って…」

「ジネット…本当にあんたは頭が良いよ…」

「そうだったんですか…
でも、一体いつの間にシャルロさんの所へ?」


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