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森の奥に進むにつれ、見たことのない木が増えていた。
特別変わっているわけではないのだが、どこか普通の木とは違う雰囲気を私は感じた。

「なんかこのあたりは変わった木が多いね…
これは何の木なんだろう?
ねぇ、ヴェール…」

「………」

「ヴェール、どうしたのさ!」

ヴェールは静かに涙を流していた…



「…それが、私にもわからないのです…
ただ、涙が勝手に流れて…」

「ヴェール、大丈夫なのか?」

「…はい、大丈夫です。
さっきまでの余韻がまだ残っていたのかもしれませんね…」

やがて、ディサは一本の木の前で立ち止まった。
大きく太い枝を伸ばしたその木には、濃い緑色の葉が生い茂り、この森を包みこんでいるような印象を与える。



「ヴェール様…こちらがイルヤナ様です。」

「えっ?
…ディサさん、今、なんとおっしゃったのですか?」

「…こちらがイルヤナ様…
そして、こちらがマイユ様です…」

ディサはそういって、大きな木のそばにひっそりとたたずむまだ小さな一本の若木を指差した。

三人はその言葉に混乱し、何も言うことが出来なかった。
ディサはそこから少し歩を進めると、また一本の木をさし示した。



「ヴェール様…
この木に見覚えがありませんか?」

「……!!
ディサさん…!
…ま、まさか、この木は…」

動揺しながらもヴェールはその木に近付き、そして、その木に抱きつくと声をあげて泣き出した。

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