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「あぁ、すまなかったな、もう大丈夫だ。」
その言葉通り、シャルロの顔色は元の通りに戻っていた。
「よほど、大変なことだったのですか?」
「そうだな…
緑と赤が重なってるのはすぐに見えたんだが、その中を探ろうとするとなにかにはね返されるような感覚があってな。
それを破るのにずいぶん力を使ってしまったようだ。
普通の人ならそんなことはないんだが…あんたにゃいつも苦労させられるよ。」
シャルロは屈託のない顔をして笑った。
「すみません。いつも厄介事ばかり持ちこんで…
それで、シャルロさん、聞きたいことっていうのは何なんでしょう…?」
「あぁ、それなんだ!
この間、あんたがここへ来た直後に、若い女と出会ったかい?」
「若い女性ですか…?
いえ…そのようなことはありませんでしたが…」
「そうか…
会えなかったのか…かわいそうに…」
シャルロは、沈んだ声でそう言った。
「どういう方なんですか?」
「それがな、あんたが去った後、森の民を探してるって若い女がやってきてな。
その女を見たら、あんたやサリーの姿が浮かんできたんだ。
それで、きっとあんた達と一緒にいればその人に会えるってことだろうって言ってやったんだが…
そうか、会えなかったのか…」
「森の民を探してる人物が…!?
その方はなぜ、森の民を?」
「なんでも、以前、世話になったことがあったとか言ってたぜ。」
「ではその方は、すでに森の民に接触した事があるのですね!
しかし、また、どういう経緯で…」
「森を案内してもらった時らしいぜ。」
「森を案内?
まさか、それは『暗き森』のことでは?」
「その通りだ!!
あんた、暗き森を知ってるのか?」
「知ってるもなにも…
私は、今、あの森の案内人だった男性と一緒に旅をしているのです。
以前、森の民の居所を探していたのもそのためだったのです。」
「なんだって!!」
シャルロの驚き方は尋常ではなかった。
「どうしたのですか?
案内人が今度の魔石となにか関係があるのですか?」
「案内人は、今、どこにいるんだ!?」
「今は、この先の浜辺にいるはずですが…」
「どうかその人と会わせてもらえないだろうか?」
「それは、構いませんが…
では、今から呼んでまいります。」
シャルロがなぜヴェールに会いたがるのかはわからなかったが、彼なら特に問題はないだろうと考え、レヴは浜辺へ急いだ。
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