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「緑と赤…!!
やはりシャルロさんに見えるのもその色なのですか?!
私が今回知りたかったのも実はそのことなのです。
もう少し詳しくはわからないでしょうか?」

「ちょっと待てよ…」

シャルロは黙ってレヴの瞳を見つめる…
明らかに普通ではないその視線は、レヴの至る所にチクチクと突き刺さるようだった。



「また魔石だ…
とても美しい赤…
だが、それは深い憎しみと絶望のこもった悲しみの赤だ…血の色かもしれない…
真っ赤に染まった白い衣裳…
死ぬしかなかった…
幸せになりたかった…」

シャルロの口から次々に飛び出す言葉は、レヴにはシャルロの声を借りた別の者のもののように聞こえた。



「そして、緑…
緑の森……?
緑の……
もしかしたら緑は森の民なのか…?
あぁ…ヴィジョンがはっきりしやがらねぇ!」

シャルロの顔は青ざめ汗びっしょりになっていた。



「シャルロさん、大丈夫ですか!」

「あ…あぁ、大丈夫だ…
だが、これが俺には限界だな。
すまないが、ちょっと休ませてもらうぜ。」

そう言って、シャルロは長椅子に横になった。
こういう力を持たないレヴにはよくはわからないが、相当な集中力のようなものを必要とするのだろうと推測した。



「シャルロさん、また明日出なおして参りますから、今日はゆっくり休んで下さい。」

「いや、少し休めば大丈夫なんだ。
すまないが、少しだけ待っててくれ。
あんたにゃ、聞きたいこともあるんでな。」



(聞きたい事…?)



「わかりました。
では、私はそのあたりを少し散歩でもしてきます。」



レヴはそう言い残して、店の外に出た。
このあたりには特に見るものもなければ時間を潰すカフェのような場所もない。
かと言って、ヴェール達のいる浜辺まで行って帰ってくるには時間がかかり過ぎる気がする。

結局、レヴはシャルロの店のすぐそばの階段に腰をかけ、何をするでもなく無為な時間を潰した。
こんな時、煙草を吸う習慣でもあれば少しは退屈しのぎになっただろうに…

そんな時、ふと頭をよぎったのはリーズのことだった。



(リーズはあれからどうしているだろうか…
きっと、あのまま眠っているのだろう…
リーズは夢の中で一体、なにを考えているのだろう…?)



西の塔の魔女は言った。
魔石のことが片付けばリーズはきっと目を覚ますと…



(待ってておくれ、リーズ…
必ず、解決してみせるから…)



考え事をしてる間に、それなりの時間が流れた。
そろそろ良い頃合か…
レヴはシャルロの店に戻ることにした。


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