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エリサの話はこうだった。

荷物の準備が早めに出来てしまったので、エリサとリーズは裏山に散歩に出かけた。
その時、崖下に百合の花をみつけたリーズはそれを取ろうとし、そして崖から落ちたというのだ。

エリサは近隣の住人に助けを求め、リーズは今、その住人の所にいるという。



「そんな…リーズが……!!」

「レヴ、行くぞ!!」

レヴとフレデリックはエリサにその場所を聞き、馬を走らせた。
エリサとヴェールは、馬車で向かう。



先に着いたフレデリックとレヴが見たものは、まさに今その命の灯火を消し去ろうとしている痛々しいリーズの姿だった…



「あの崖から落ちて助かった者はいない…
崖下はゴツゴツした岩だらけだからな。
たいていは、即死だ…
この娘さんはすぐに死ななかっただけでも奇跡だが…気の毒だが助かることはなかろう…
まだ若いのに…可哀想にな…」

「リーズ……!!!」

「レヴ、落ちつけ!」

リーズに取りすがるレヴを押し退け、フレデリックはリーズの身体を診察した。



「どうなんだ?!
フレデリック!!
助かるんだろ?
リーズは必ず助かるよな…!
助かると言ってくれ、フレデリック!!」

「レヴ……
出来る限りのことはする…
しかし……心の準備はしておけ…」

「フレデリック…!!」

やがて、ヴェールとエリサの乗った馬車が着いた。



「早く診療所へ!!」

馬車にリーズを運び入れ、ヴェールはフレデリックの乗ってきた馬に乗り、レヴと共に診療所へ向かった。







「レヴ、ちょっと来てくれ…」

「フレデリック、どうなんだ!
リーズは…リーズの容態は…」

「レヴ…今夜はリーズさんのそばにいてやれ…」

「もちろんそのつもりだが…」

「リーズさんは…おそらく…明日の朝まではもたん…」

「…え……フレデリック…
今、何と…?」

「レヴ……もうどうしようもない…」

「フレデリック…!」

レヴは病室に入った。

そこに横たわるリーズは至る所を白い包帯で巻かれ、すでに息をしていないようにも見えた…



「リーズ…なぜ、こんなことに…」

レヴは、リーズのその姿になす術なく立ち尽くした。



「リーズ様…!
レヴ様、本当に申し訳ありません!!
危ないからと私、ご注意したのですが…リーズ様は『大丈夫!』と笑ってらっしゃって…
そしたら突然木の杭が…
私がついていながらこんなことになってしまうなんて…レヴ様、本当に申し訳ありません…!!」

「…エリサさん…あなたのせいじゃない…
目に浮かぶようですよ…その時のリーズの様子が…」

「レヴ様……」

「どうか、休んでください。
あなたもお疲れになっているでしょう…」

「…では、私…ヴェール様と廊下のベンチにおりますので、なにかありましたらすぐにお呼びください…」



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