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「ローラさん、厚かましく押し掛けて来てしまって、本当に申し訳ありません。」

「なにをおっしゃるの?
リーズさんに来ていただいて私達とても喜んでるんですのよ。
パーティが楽しみで仕方ありませんわ。
…あら…リーズさん、もしかしたらあなた六月生まれなの?」

「えっ!どうしてわかったんですか!?」

「だって…素敵なムーンストーンの指輪をつけてらっしゃるから…」

「ムーンストーンでなぜ六月生まれだってわかったんですか?」

「リーズさん、ご存じなかったの?
ムーンストーンは六月生まれの誕生石なのよ。」

「まぁ!そうだったんですか!!」

「それにしても本当に綺麗な石ね…」

「良かったら、さしてみますか?」

リーズはそう言って、ムーンストーンの指輪を自分の指から引き抜こうとした。



「だめよ!
リーズさん!こういう石はね、なるべく他人には触らせない方が良いのよ。
貸したりするのもだめよ。」

「そうだったんですか!
私…何も知らなくて…」

「ムーンストーンは、愛と希望の石って呼ばれてるんですよ。
今のリーズさんにはぴったりですね。」

「ありがとうございます、ローラさん。」



(まさか、この石が六月の誕生石だなんて…!
やっぱり、この石は私と深いご縁があったんだわ…!
運命の出会い…なんて、ちょっと大げさかしら…?!)



レヴとリーズの婚約披露パーティは三日後と決まった。

「本当にドレスは新調しなくて良いのですか?」

「ええ、第一、今から仕立てていたのではとても間に合いませんわ。」

「それはそうですね。
気が付くのが遅過ぎました…
まぁ、ここでのパーティは気のおけない友人達を招いてのごく内輪のものですからそんなに気を遣うことはないのですが…
なんせ、あなたはパーティの主役ですから。」

「ドレスなんて、私、なんでも構わないんです。
皆さんにお祝いしていただけるだけで、とっても幸せですわ。」

「…では、なにかアクセサリーだけでも…
……リーズ…その指輪は…?」

「あ…?これですか?
綺麗でしょう?
これは、私の大切なお守りです!」

「お守り…?
どういうことです?」

「ウフフ…
内緒です〜!!」

リーズは意味ありげに微笑みながら、走り去って行った。


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