(畜生!誰だ、こんなややこしいシステムを考えた奴は…!)



俺は、イライラした気持ちを、何の罪もない壁にぶつけた。


やっと探し当てた安土桃山時代に、彼女はすでにいなかった。
俺の目の前で、マシーンの座標は彼女が明治時代にワープしたことを現していた。



この馬鹿馬鹿しいとも思える追いかけっこは、今やこの世界の常識だ。
プロポーズした者は、一週間以内に相手をみつけなければならない。
逃げる側は、仲人と一緒にタイムマシーンと瞬間移動装置を使って時と場所を転々として逃げまくる。
逃げおおせた時間によって、仲人は謝礼をもらえるため、仲人という立場を忘れて必死に逃げる者も少なくない。
一週間以内に見つけられなかった者は、市に多額の寄付をしなければならないし、なによりも不名誉なことだから、これまた必死で探しまくる。
その上、三日以内にみつけられた花嫁は一生幸せに暮らせる…なんて言い伝えまであるから、誰にとっても真剣な追いかけっこなのだ。



(安土桃山時代から明治への連続ワープか…タイムマシーンのエネルギーの消耗を考えると、次のワープまでにはしばらくの時間がかかるはず。
つまりは、明治時代で見つけるのが得策だ!)



俺は、明治時代へ飛んだ。
ビンゴ!
手元の座標に思わず笑みがこぼれた。
彼女は、まだこの時代の薩摩と呼ばれる場所にいる。
俺が辿り着いたこの琉球からは目と鼻の先だ!



(理沙、今日中に絶対にみつけるからな!
そして、おまえを一生幸せな花嫁にしてやるぜ!)


俺は、薩摩への瞬間移動を開始した。


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