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カリッポリッ…
あぁ、俺は今までポッキーがこんなにうまいなんて知らなかったよ。
この微妙な甘さ…歯ごたえの良さ…
なんて最高のお菓子なんだ…!!
(今日はあと1本でおしまい…もう少しあとで食べようっと。)
ぴちょん…ぴちょん…
雨漏りのしずくが、ひしゃげた鍋に落ちてきて物悲しい音を立てる…
雨の馬鹿野郎…早くやめよ!
先月はまだ流行ってもいないインフルエンザにかかり、バイトを何日も休んだから当然給料は少なくて…
今月の給料日までまだあと三日あるっていうのに、家には食べるものが何もない。
水だけで三日間暮さなきゃいけないのかと思ってたら、ショップに行って携帯を見せたら、ポッキーがもらえるってキャンペーンをやってるのを知って、俺は一目散にショップに駆け込んだ。
ポッキーひと箱とはいえ、水だけに比べたらずっとましだ!
これでなんとか喰いつなげる!!
キャンペーンよ、ありがとう!
他社携帯の俺にもこんなに優しくしてくれて、本当にありがとう!
俺は、キャンペーンに感謝しながら、転寝した。
(さ、さぶっ…)
寒さで目が覚め、俺は近くにあったマフラーをぐるぐると首に巻く。
いつの間にか鍋の演奏は終わり、窓の外は明るくなっていた。
(雨、やんだかな?)
建付けの悪い窓を力を入れて開けると、強い風と共に落ち葉が一枚、舞い込んだ。
寒いけど、外は良い天気だ。
よしっ!
あと三日…頑張るぞ!!
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