side美遥3






(どんなのが来てるのかな?)



ちょっとした好奇心から、私はお母さんあての年賀状を見てみた。
親戚からものがちらほらあって懐かしい想いがした。
年齢の割にはけっこう可愛らしい絵柄のものだったり、家族の画像を使ったもの、中には玄人はだしの絵手紙風のものがあったりして、意外に楽しい。




(……あれ?)



私の視線は一枚の年賀状の上に止まった。
ありきたりな新年の挨拶はなんだかそれだけ子供っぽい字で書かれていて、しかも、はがきがどこかおかしい。
ひつじの絵柄は妙にレトロな雰囲気だし、はがき自体、どこか色あせたような感じがした。
表を見てみると、それは意外にも私宛て。



(えっ!?)



それに、切手が足してあるからおかしいなと思ったら、なんとその上には平成15年と印刷してあって…



誰なんだ!?
同じ干支とはいえ、12年も前の年賀はがきを出してくるなんて…



だけど、差出人の名前はない。



(……きもっ!)



もう一度、裏を返す。
なにか、差出人の手掛かりになるものはないかと…



(……ん?)



はがきの隅っこに、M.M.という小さな文字をみつけた。
もしかして、これが差出人の名前?
いや、そんなことはない。
小さな文字だとはいえ、こんなすぐみつかるところに書くはずがない。
そうだ…きっと、これはなにかのメッセージ…
なんだろう?何かの略?
でも、何も思いつかない…



(も、もしかして、ストーカー…!?)



恐ろしさに、私の背中に悪寒が走った。
思わず、お母さんに電話しようと思い、スマホを手に取って…
そして、あることに気が付いた。
もしも、この家のどこかに盗聴器が仕掛けられてたら…



(だめだ!会話を聞かれちゃまずい…!)



私はとにかく外へ出かけることにした。


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