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そんな答えのわからないことを延々と一晩中考え続け…
その結果…次の朝は、充血した目と目の下にクマを伴なっての不機嫌な起床となった。
(あぁ…ねむ…頭痛い…
でも、頑張らないと…
今日はちょっと早めに仕事を上がって、美容院も行かなきゃだし…)
結局、私の気持ちはトナカイを信じる方に傾いたようだった。
半分寝ながら私は適当に仕事をこなした。
こんな時は、つくづく事務職で良かったと感じる。
いつも退屈に感じていたけど、これがもっと身体を使う作業だったり、危険な仕事だったらとてもこんな風にはいかない。
風邪気味なので病院に行くと言って、いつもより一時間早く会社を抜け出した。
忙しい時期だけに本当ならそんなことは言い出しにくい状況なのだけど、私はふだんからそれほど使える社員でもなかったせいか、文句を言われることもなかった。
(さぁ!急がないと!!)
病院ではなく美容院までダッシュを決める。
カリスマ美容師なんて者がいるような、そんなたいした美容院ではないけど、とにかく、のびっぱなしの髪をなんとか出来ればそれで良い。
予約した時間は迫っていたけど、美容院はここからは曲がり角を曲がってすぐだからきっと間に合う。
その曲がり角にさしかかった時、突然何かにぶつかり私は倒れて尻餅を着いた。
「いった〜〜〜…」
(八ッ!まさかっ!)
もしや、ぶつかったのは架月かと、一瞬、血の気が引きかけたけど、私と同じように尻餅をついていたのは白いひげのサンタクロースだった。
あたりにはサンタが持っていたと思われるクリスマスケーキのチラシが散らばっている。
「あ…ごめんなさい!!大丈夫ですか?!」
「あ…いたたた…
僕は大丈夫だけど、君は大丈夫だった?」
「あ、私は大丈夫です。見ての通り、お尻のクッションがありますから…
それより…サンタさんは大丈夫ですか?」
そのサンタは見るからにかなり痩せている。
赤いサンタ服はブカブカで、袖丈やズボン丈が微妙に足りていない。
「僕は大丈夫だから。
それより、君、なにか急いでたんじゃない?
早く行かないと…」
「でも、チラシが…」
「そんなの大丈夫だよ。
早く、行きなよ!あ、でも、曲がり角は気を付けてね!」
「そうですか?ありがとうございます!じゃ、お言葉に甘えて…」
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