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「兄さん、シュウは本当に私のことを愛してる……
それは嘘じゃない。
それにね、それはシュウの意志じゃないんだ……」

「美幸、それはどういうことなんだ?」

兄さんが怪訝な顔で私に問い返す。
そりゃあ当然だよね……



「……そ、それは……私がそう設定したから……だから、間違いないことなんだ。」

ついに言ってしまった。
これから説明するのが大変…というか、信じてもらえないことはわかってるけど、それでもやっぱり言わなくちゃ……



「設定……?
美幸、何を言ってるんだ?」

「兄さん……信じられないと思うけど…
シュウは、この世界の人間じゃない。
シュウは…私が書いた小説のキャラクターなの…
私のことを愛してるのも、シュウはひかりを…あ、ひかりっていうのは私のペンネームで、しかも、その小説の主人公の名前なんだけど…そのひかりを愛してるって設定にしたからで……」

兄さんは何も言わず、ただ、黙って私のことを憐れむような顔で見ていた。



「美幸…近いうちに一緒に家に帰ろう。
それがいやなら、この近くの病院に行こう。
俺も一緒に行くから、何も心配はいらないぞ。」

その口調はさっきとは違い、とても優しいものだった。
兄さんは、私のことをおかしいと思ってるんだ。
そりゃあ、少しはおかしいかもしれないけど、現実と空想がごっちゃになるようなことはない。
……でも、無理もないか。
私だって、シュウがいきなり現れた時には、自分でも頭がどうかなったんじゃないかって思ったもの。



「兄さん、私は正気だよ。
兄さんが信じられないのはわかる。
私だって、最初は信じられなかった。
でも、あの赤い星が…えっと…なんだっけ…カ、カリギュ…あぁ、思い出せない!
兄さん、シュウを呼んでも良い?」

「あ、あぁ……」

兄さんはシュウを呼ぶ事を許してくれた。
やっぱり、私のことを完全におかしいと思ってるからだと思う。



「シュウ…あの流れ星の名前、なんだっけ?」

「流れ星って……ひかり、あのことを和彦さんに話したのか?」

「……うん。
だって…本当のことなんだもん…」

私がそう言うと、シュウは少し困ったような顔をして、小さな溜め息を吐いた。

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