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「な、な、なんで、私が好きなのよ!」

噴火寸前の私の口からは、さらに温度が上がりそうな質問が飛び出していた。



「え……」



……これまた予想外の出来事だった。
シュウは、今まで私に見せた事のない…と、言っても今日会ったばかりなせいかもしれないけど…
とにかく、シュウのイメージとは合わないような…なんていうんだろ…そう、不安そうな顔を見せた。



「……どうかした?」



一瞬の鎮火だった。
火を吹く寸前の私は、その表情で一気に熱が冷めたのを感じ、そのことに自分でも少し驚いていた。

シュウは黙ったまま何も言わなくて…
その顔はどんどん雲って行く…



(あ……)



私はシュウの沈黙の意味を悟った。
そうだ…シュウがひかりを好きなのは…それは私の考えた設定だったから…
そして、ひかりのどこが好きなのかを答えられないのは、そのことについて私が何もまだ書いてなかったからなんだ…



冷めた…冷めた…
冷え過ぎて凍って、そして硝子のように砕けていくような感じがした。



当然だ…
こんなかっこいい人が、私みたいな冴えない子を好きになるなんてあるはずなかった…
今まで彼氏どころか、誰からも好きだと言われたことさえない私のくせに、一瞬とは言え、何、浮かれてたんだろう…



惨めで恥ずかしくて…
その場から消えてしまいたい気分だった…



「やっぱり、ポテチ食べようっと!
あ、シュウ…私、これからゲームするから、邪魔しないでね。
いくら私のことが好きでも、私の部屋には…いや二階には上がっちゃだめよ!
それと、朝も早くに起こさないで!
私が起きてくるまで放っておいて。
言うこと聞かなかったら出て行ってもらうからね!」

強がりパワーを全部使っても、それだけ言うのが精一杯だった。
私は、立ち上がり、隣の台所からポテチとコーラのペットボトルを持ち出すと、おやすみ〜と無理に明るい声を出して二階に上がった。



階段を上りきるまでなんとか涙をこぼさなかった自分を誉めてあげなくちゃ…



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