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「どうしたんだ?
突然、飛び出して…」

玄関先で、シュウは思った通りの質問をした。



「はい、野菜!」

私はすぐには質問に答えずに、もいできた野菜をシュウに押し付けた。



「今夜、パスタが食べたいって急に思ったんだ。
で、買いに行ったんだけど、行く途中であそこにはパスタは売ってないこと思い出して…」

「……なんだ、そりゃ?
おまえは食い物のことになると、ものすごく素早い行動するんだな。」

そう言って、シュウは笑いを噛み殺す。



「……で、この野菜は?」

「うん…とりあえず、食材になるかなと思って…」

「そういえば、冷蔵庫の中、冷凍食品とレトルトばっかりじゃないか。
いつもあんなもんばっかり食ってんのか?」

「……だって…」

料理なんてほとんど出来ないんだもん。
そんなことは言わなくても、きっとシュウは気付いてると思うけど…



「それに、あのスナック菓子の山はなんだ?
あんなのばっかり食べてるから太るんだぞ!」

「シュ、シュウだってスィーツ好きじゃない!」

太るという言葉が妙に勘に触って、私は思わず声を荒げた。



「スナック菓子よりは良いと思うけど…
おまえ、ケーキとかそういうのは好きじゃないの?」

「好きじゃないことはないけど…高いし…日保ちしないし…」

「まぁ、そりゃあそうだけど…
そういえば、買い物はいつもどこでしてるんだ?」

食生活についてのシュウの質問が続き、私は、月に一度町に買い出しに行き、野菜や果物は畑のものを食べ、調味料などちょっとした物が足りなくなった時には山下商店に行く事をシュウに伝えた。



「月に一度か…それじゃあ、日保ちするものしか買えないな…」

「たまごは山下商店にもあるんだ。
肉や魚もちょっとはあるけど、ほとんど買わない。」

「そっか…でも、冷凍食品やレトルトは手軽な分、けっこう割高なんだぞ。
自分で作った方がずっと安い。
これからは俺が…」

やった!
これから、シュウが作ってくれるようになって食費が浮いたら、その分、漫画やゲームソフトに回せるかもしれない!




「料理を教えてやるからな!」

すでに甘い妄想に浸りかけていた私は、予想もしなかったシュウの言葉によって現実に引き戻された。



「……えっ!?
今、なんて……?」

「だから、料理を教えてやるって言ったんだよ。
料理が出来ないとなにかと不便だろ?
自分で作れたら、楽しいし、安くつくし、良いこと尽くめだからな!
……そういえば、エプロンはないのか?」

シュウはあたりをきょろきょろと見まわしたけど、そんなものはここには…


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