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「まさか、兄さん……」

「なにもまだ信じてるわけじゃないぞ!
ただ…俺は、こういうことが全くないとは思っていない。
世の中には、とても信じられないようなことがいくらでもあることくらい、俺にもわかってる。
……さすがに、自分の作ったキャラクターが実際にこの世に現れたなんて話は聞いた事ないけどな。
それと……確かなことがわかるまで、母さん達には何も言わないから…とりあえずは安心しろ。」

「兄さん…!」

嬉しくて思わず兄さんに抱きつきたいくらいだった。
そういえば、小さい頃はそんなことも平気だったのに、いつからか話をするだけでも少し気を遣うようになっていた。



「それから、この旅行には君にも同行してもらう。」

「えっ!お、俺もですか!?」

「そうだ。
何もないとは聞いたが、兄としておまえ達を二人っきりにしておくことは出来ない。
美幸はバイトがあるようだから休めないだろうし、だから、君を連れて行く。」

「ま、まさか、兄さん…
そんなこと言ってシュウをおかしな所に連れて行くんじゃ……」

「美幸…俺はおまえの兄だぞ。
俺の言うことを信じろ。
そんなことはしない。
本当に、調査に行くだけだ。
早速、明日出発するから、準備しとけよ。」

兄さんはシュウや私の意見は聞かずに、勝手に話を決めている。



「で、でも、兄さん…私、お金が……」

「そんな心配はいらん。
俺が連れて行くって言い出したんだから、必要な金は全部俺がもつに決まってるだろ!?」

そこまで言われては、私にはもう何も言い返せない。
なんだかおかしなことになって来たけど、とりあえず、シュウのことを黙っててくれるって言うんだから今はそれで良かったと思うしかない。
その証拠に、兄さんは私達の目の前で母さんに電話をしてくれて、シュウのことも、バイトのことも黙っていてくれた。

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