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「それと、ここ……」

そう言うと、兄さんはまた私達の方へパソコンの画面を向けた。
今度のは日本語だけだったけど、なんだか怪しいっていうか、不気味なデザインのページだ。
タイトルはそのものズバリ「カリスタリュギュウの奇蹟」
読み進んでいくうちに、私の鼓動はだんだんと速くなった。
ま、まさか、これもあの流星群の奇蹟だというの…!?



「兄さん…これ……」

兄さんは、黙ったままで深く頷く。




「日付から考えても、カリスタリュギュウス流星群の時期とぴったりなんだ……全くのでたらめとは思えない。」

シュウもまだ驚きから覚めないような顔をして首をひねっていた。



そこに書かれていたのは、ある男性の死にまつわる事件のことだったのだけど……
男性は女性と二人である観光地の旅館に泊まり、その次の日、荷物も残したまま二人共消えてしまったのだという。
その日の早朝、自殺の名所としても有名な崖の傍で二人を見かけたと言う人がいることから、二人で海に飛びこんだのではないかと推測されたが、そこは遺体がみつからないことで知られた場所。
遺書もなければ靴もなく、実際どうなったのかはわからないままらしい。
酷い言い方だけど、実際にそういうことがあったとしても、そんなことはよくあるといえばよくあること。
なのに、なぜ、その事件が大きく取り上げられているかというと、その男性と一緒に旅館に泊まったとされる女性は、昨年、亡くなった男性の奥さんにそっくりだったということだからだ。
奥さんは末期のガンで、病気が良くなったらその土地に旅行に行こうと話しながら、それを果たせずに亡くなったのだという。
その事件に関する情報を知る人達からの書きこみもあったけど、旅館の仲居さんの話では、その女性は酷く体調が悪く見えたらしいとか、その男性は流星群のことをとても楽しみにしてて、奥さんを生き返らせてくれるように願いをかけると言っていたとか、男性が、奥さんが生き返ったと妹に電話をしていたことなどに加え、その男性の住む場所や人物が特定されそうな手掛かり等、けっこうたくさんの情報が寄せられていた。





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