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(日記帳に書かれていたことは今まで一度も違ったことはなかった。
悔しいが、俺はきっともうだめなんだ。
だけど、このままじゃあまりにも悔しい…
そうだ…最後に俺は日記帳に教えてやるんだ!
俺の底力を…!思惑通りにならないことがあるってことをな…!)



したたかに酔っていたランディは、完全に理性を失っていた。
よろよろとおぼつかない足取りで立ちあがり、台所のナイフを手にした。




(俺は死ぬ…しかし、交通事故なんかじゃない。
俺はこの部屋の中で、自らの意志で命を断つんだ。
そうだ…俺は悪い目を出してしまったが、日記帳の言いなりにはならない。
最後の最後で日記帳に勝つんだ…!)

そう思うと、ランディにはもう死さえ怖くはなかった。
力をこめ、戸惑う事なく振り上げたナイフを腹に深く突き立てた。



「い…痛い…痛いよ!!」

切り裂かれた肉体の激しい痛みと流れ出すおびただしい血がランディに理性を呼び戻した。



(ち…畜生…
俺は、なんて馬鹿なことをやらかしちまったんだ…
こんなことしなくても今日は外に出なけりゃ事故なんかにあうはずなかったのに…な、なんてことを…)

後悔の熱い涙が、ランディの頬をとめどなく伝った。



「だ…誰か…誰か、助けてくれ…!
いやだ…俺は死にたくない!まだ死にたくなんかないんだ!」

ランディは最後の力を振り絞って立ち上がった。
隣の住人に救いを求めようと考えた時、ランディは窓の外に知り合いの姿を確認した。
通りの向こう側を歩く知り合いに勇気を感じ、ランディは、そのまま外へ出て行った。




「助けてくれ…
助けて……」




うわごとのように呟きながら、ランディは車道へ飛び出した……





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