「あぁ〜!
今日は飲みすぎたぞ〜!}

部屋に戻ったランディは大きな声でそう叫び、ベッドの上に身を横たえる。
赤くなったその顔には機嫌の良い笑みが浮かんでいた。



(あいつら…金を貸す時とは全然違う態度だったな。
ちょっと色を付けてやっただけで、あんなにぺこぺこしやがって…)

日記帳にあった通りになったことで苛々していたランディも、金貸しに金を返し、酒場で周りの客に酒を振る舞い、ちやほやされながら飲んでいると、そんなことはもうどうでも良いような気分になっていた。



(金があるっていうのは、やっぱりとても良い気分だな。
……それにしても、今日は本当に面白い体験をした。
バスがたまたまエンストするなんて、そう滅多にあることじゃない。
しかも、第3レースだと思ってたのが実は第4レースで、そこにたまたま酔っ払いが来てあんなことを言うなんて…
そしてそれが大当たり…
……滅多にあることじゃないよなぁ…)

ランディは、思い出し笑いに身を震わせる。



(面白いじゃないか。
考えてみれば、この日記帳の未来の内容を見て当たったものを買えば間違いなく当たるんだ。
あれだろうかこれだろうかと考えたり悩む必要もない。
……もしかしたら、俺はどえらいものを手に入れたのかもしれないぞ。
この日記帳のおかげで、一山当てることが出来るかもしれない!)

ランディの心の中から、日記帳に対する恐怖心はもうすっかりと消えていた。
不安は期待感に変わり、日記帳を宝物のように感じ始めていた。



それからのランディは事あるごとに、未来のページをのぞき見するようになった。
当たったと書いてある時は、そこに書いてあるものを買えば必ず当たる。
大負けをしたことが書いてあった時には、ランディは日記帳に書いてるものとはあえて違うものを買ってみようと試したが、発券の際のミスで書いてある通りのものが手渡された。
どんなに頑張ってみても、日記帳に書かれたことは覆す事は出来ない。
そのことをランディも実感として学び、それからはそういう時には抗うことはやめた。
はずれるとわかっているものを買うことには抵抗があったが、それは自分の振ったサイコロが悪い目を出してしまったのだと考え諦めるように務めた。


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