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そのうち、アルディはまた広場の中心に進み出て、大きな声を張り上げた。



「さてと……今夜はもうひとつ嬉しい知らせがあるんだ。
実は、人間の友人・フレイザーが今度結婚することになった。」

さざ波のように驚きの混じった歓声が広がり、何も聞かされていなかったフレイザーとジャネットは、目を丸くして顔を見合わせた。



「さぁ、ジャネット…フレイザー、ここへ……」

「え……」

「さぁさぁ!」

戸惑う二人を皆がけしかけ、二人は広場の中央に押し出された。



「ケイティ!」

アルディが声をかけると、ケィティとカークがおずおずと何かを持って二人の傍へ近付いた。
ケイティは、ジャネットの前に立ち、長く広い布のようなものを金色のわっかで彼女の頭に留め、身体全体をそれで覆った。
カークはフレイザーの前に立ち、同じ布で作られたと思われるものを彼の両腕に金のわっかで留めつけた。



「アルディ……これは?」

「獣人の婚礼の衣装だ。
昔は死んだ者の毛皮で作っていたらしいが、獣人達も少しずつ文化的になってな。
墓場に良く生える木の繊維で作った布を使うようになったんだ。
これはつまり先祖の加護を得るとか、先祖に誓うとかいう意味があるんだ。」

「そんな大切なものを……」

そう感じたのは獣人も同じだった。
いくら親しい人間とはいえ、獣人にとって神聖な婚礼の衣装を人間に貸したことで、その場には不満を唱える獣人達のざわめきが広がった。


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