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「でも、水臭いわ。
どうして話してくれなかったの?」

「それは……」

口籠るジャネットの代わりに、フレイザーが答えた。



「最初は生まないつもりだったみたいだ。
生まれて来る子が獣人だったらどうしようって、つまらないことを考えたらしい。」

そう言ってフレイザーはジャネットの額を軽く突いた。



「まぁ、ジャネット、それ本当なの!?」

「……あぁ。
私は、昔、子供が出来ない薬草を常用していた。
だから、子供が出来たってこともすごくショックだったんだ。
出来るはずないって思ってたからな。
もし…ダルシャのお母さんにバレなかったら……私は、どうにかして子供を堕ろしてたと思う。」

「なんてことを……
どうしてフレイザーのことをもっと信頼出来ないの?
フレイザーを愛してるんでしょう?
ジャネット……フレイザーはあなたと赤ちゃんのために、自分の世界に戻ることを諦めた……
そんな人、どこにもいないわよ!
良いわね?これからはもっとフレイザーの事を信頼するのよ!」

「わかってるよ。
これからはもうフレイザーに隠し事なんてしない。」

フレイザーはその言葉に満足そうに頷いた。



「ダルシャ…申し訳ないけどしばらくは厄介にならせてくれ。
あ、俺…仕事はどんなことでもするから。」

「フレイザー…俺の仕事を手伝ってくれよ。」

「ラスター、そういえばやりたいことがあるって言ってたけど、何をするつもりなんだ?」

「実はな……」

ラスターは、初めて、皆の前で自分のやりたいことについて話をした。
それは、スラムを立て直すこと。
スラムの傍に新しい町を作り、現在スラムに住む人々を移住させるつもりだということを。




「もちろん、簡単にはいかないだろう。
あそこの奴らは意固地だからな。
でも…あんなところで暮らしてたら、皆、身体ばかりか心まで病んじまう。
林での作業をもっと拡大して、その木で町に家を建て、ついでに家具を作って売ろうと思ってるんだ。」

ラスターの考えに、ダルシャは大きく頷いた。



「なるほど。そういうことなら、賛成だ。
ぜひ、やってみたまえ。
すぐにあのあたり一帯の土地を買占めよう。
後は、君が責任をもって、やりたいようにやれば良い。」

ラスターは、今まで見せたことのないような晴れ晴れとした笑顔を見せた。



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