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フレイザーは、オレンジ色の願い石を手に取った。



「やめろ、フレイザー!
やめてくれーーー!」

狂ったように泣き叫ぶジャネットから、エリオットはそっと目を逸らした。



「フレイザー…本当に大丈夫?
辛かったらボクが……」

「エリオット……俺……」

「どうしたの?」

不思議そうにフレイザーを見つめるエリオットに、フレイザーはなおも近寄り、その耳元で囁いた。



「俺……父親になるんだ。」

「え……?」



戸惑うエリオットの前で、フレイザーは小さく微笑み、やがて大きな声で願いをかけた。




「エリオットを元の世界に……!」



「あ……」




オレンジ色の願い石は砕け散り…
たった今までそこにいたエリオットの姿は跡形もなく消え去った。



部屋の中には、奇妙な静けさが広がり、皆、時を忘れたように動きを停めた。




「フレイザー……」



ジャネットの小さな囁きが、停まった時を取り戻した。



「フレイザー!」

「ジャネット!」

二人は抱き合い、熱い涙の洪水に飲みこまれた。



「……君って人は……」

「フレイザー、あんた、大変なことを……」



抱き合う二人を目の前にして、三人も同じように涙に暮れた。



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