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「ボク達は、ある日、家の近くの遺跡で、木箱をみつけたんだ。
その中には、綺麗な色の五つの硝子玉が入ってた。」
「硝子玉?」
「最初はそれが何なのかわからなかったけど、こっちにきてからわかったんだ。
それは、願い石だったんだよ。」
「おいおい、おかしなことを言うなよ。
あんたらはこことは違う世界から来たって言ったよな?
なのに、なんでそこに願い石があるんだ?」
「それは俺にもわからない。
俺だって、まさかあっちの世界で見つけたものとこっちの世界の願い石に関連があるなんて、最初は信じられなかった。
でも、それは間違いない。
今からそれを証明していく。」
「証明…?どうやって証明するんだ?」
フレイザーは、鉛の箱を自分の前に置き、その中から青い双子石を取り出した。
「これは、皆も知ってる通り、青の双子石だ。
双子石は、願いをかけた者がその願いを解除すると宣言した時に、割れるんだったよな?」
「あぁ、そうだ。」
フレイザーは石を持って立ち上がり、大きな声で宣言した。
「俺は願い石にかけた願いを解除する!あ…」
フレイザーが言葉を言い終えた瞬間、青の双子石はまるで砂のように細かく砕け、彼の指の隙間からさらさらと流れて落ちた。
「本当だ…双子石が砕けた。
あ、あれっ?それに、なんだか、あんた少し若返ったような……」
「そうね…いつもと少し違う感じだわ。」
「すまなかった。俺、本当はエリオットと同い年なんだ。
昔から早く大人になりたかったから、大人になることを願った。
あの時は身長もけっこう伸びて、体格もがっしりした気がしたけど、実際の俺はもうそれに近くなってたんだな。」
四人は、実際に願い石が砕ける様を見ても、まだどこか信じられないような表情をしていた。
「次はボクだ。」
エリオットが緑色の双子石を持つと、フレイザーがそれをもぎ取った。
「違う。
願いをかけたのは俺だ。」
「あ…そうか。」
「俺は願い石にかけた願いを解除する!」
「あっっ!」
フレイザーの宣言と共に、エリオットの服装がすっかりと変わった。
今までの魔法使いの格好から、なんとも言い難い、ありふれたTシャツとパンツ姿に変わり、双子石はまたも砂のように砕け散った。
「なんだ?服装が変わったぞ。
それは一体、何の服装なんだ?
なんだか男みたいな服装だな。」
「まさか…あなた達は願い石で服装を変えたっていうの?」
「服装だけじゃない。
俺は、服装と同時にエリオットを魔法使いにしたんだ。
その時は事情がまだよくわかってなかったから、遊び半分でそんなことをしてしまったんだ。
今のエリオットにはもう魔法は使えないはずだ。」
「それじゃあ、エリオットは元々の魔法使いじゃなかったのか!?」
エリオットは、申し訳なさそうに小さく頷いた。
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