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リュシーと別れたジャネットは、そっと部屋に戻った。



(また明かりを点けっ放しにして……)



フレイザーはすでにベッドで眠っていた。
それを確認したジャネットは、先程のリュシーの手紙をポケットから取り出した。
読む度に、リュシーの優しい心遣いが感じられ、ジャネットは思わずその手紙を抱きしめた。



(リュシーさん、ありがとう。
私……必ずフレイザーに話すから。
うん、そうだ!明日こそ、話すよ!)



心に誓ったジャネットは、手紙を引き出しの中におさめ、ランプの明かりを吹き消した。







「じゃあ、お先に失礼するわね。」



次の朝、リュシー夫妻が屋敷に戻り、思いがけず、マリエルまでもが家に戻った。



「マリエルさんと喧嘩でもしたの?」

「いや、勝手に家を出て来たので、使用人が心配してるだろうってな。
それと、飼い犬のことが気にかかったようだ。
すぐに犬を連れて戻って来ると言っていたが……全く困ったものだ。」



フレイザーとエリオットは、顔を見合わせた。
ようやく、屋敷には旅を続けた六人だけとなった。
そろそろ別荘を離れる潮時でもあるし、打ち明けるとしたら、今日しかない。



お互い、その想いに気付き、二人は深く頷いた。



リュシー達を見送った後は、特にこれといったことはなく、皆が思い思いに時間を過ごした。
エリオットとフレイザーも、心に秘めた決意を誰にも悟られまいと、普段と変わらないようにふるまった。



「セリナ…お母さんとの暮らし…うまくやっていけそう?」

「ええ、全然問題ないわ。
何かあってもエルフさん達が手伝ってくれるし。」

「……そうだね。」

セリナの笑顔が無理して作られたものではないことを、エリオットは悟った。



(セリナはもう現実をちゃんと受け入れたんだね…
やっぱり、セリナは強いな。)



やがて、時は過ぎ、夕食の席で二人は後で皆に話したいことがあると告げた。



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