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「マリエル…なかなかすごい人だね。
ダルシャ…どうするんだろう?」
「さぁな……
意外と、あの勢いに押されて、結婚するかもしれないな。
結局、あの人、今夜はここに泊まったんだろう?」
「そうだけど…まさか……!?」
「……ま、他人のことは良いじゃないか。
それはそうと、そろそろ、俺達のことをしっかり相談しとこうぜ。」
「告白する時のことだね?」
「あぁ…」
フレイザーは、小さく頷いた。
「まずは俺達が願い石の入った箱をみつけたことから話す。
俺達が違う世界から来たことも……
そして、最初は俺が自分にかけた願いを解除する。」
「大人になるってやつだよね。
青の双子石を使うんだよね?」
「その通りだ。多分、解除してもそれほどの変化はないと思うんだ。
ほんの少し若くなる程度じゃないかな?」
「そうだろうね。
あれから何年か経ってるし、それほどの変化はないよね、きっと。
皆もあんまり驚かないだろうな。
そして、その次がボクだよね。
ボクが男に戻る。」
「違う違う。まずは魔法使いの格好を解くんだ。
……知らなかったとはいえ、大切な願い石を本当にくだらないことに使っちまったんだなぁ。」
しみじみとしたその言葉に、エリオットも深く頷いた。
「本当にもったいない話だよね。
じゃあ、初めに魔法使いの格好を解いて…あれ?そしたらボクはどんな格好になるんだっけ?」
「そりゃあ、いつもの格好だろ?
パーカーにジーンズとかなにか、そんな感じになるんじゃないか?」
「あ、そっか…みんな、見たことない恰好だから驚くだろうね。
そして、その後に女の子だよね?
ねぇ、フレイザー…どの願いにどの色を使ったかしっかり覚えてないじゃないか。
間違ったらどうなるんだろう?」
「双子石を持って願いを解除するって言えば良いだけだろ?
間違っても問題はないと思う。
思ってたのと違う部分の魔法が解けるだけだと思うぜ。
ただ、赤だけは最後に使わなきゃ…
この世界に来るために使ったのは間違いなく赤だ。
だから、それさえ間違わなきゃ大丈夫なはずだ。」
「そうだよね。
じゃあ、あとは、元の世界のみんながボク達のことを忘れるっていうのを解いて…それから……」
その言葉にフレイザーの顔がにわかに曇った。
「その次は、オレンジの願い石を使う。
ごめんな。あの石はおまえのために使うってサンドラ婆さんと約束したのに……」
「いいんだよ、そんなこと……」
「ありがとう、エリオット……遠慮なく使わせてもらうよ。
あの石に……ジャネットが俺のことを全部忘れるようにって、願いを……」
そう言って、フレイザーは唇をきつく噛みしめた。
「フレイザー……」
「そしたら、その次は赤い双子石に願いの解消を宣言して、それで終わりだ!
俺達は元の世界に帰る……」
フレイザーは潤んだ瞳を空に向け、早口にそう言った。
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