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「そうだったの…
私、勘違いしてたわ。
ダルシャの女癖の悪さに呆れて、あなたの方が愛想を尽かしたんだとばかり…」

「そんなことなら昔から知ってますわ。
でも、それでも、私はダルシャが好きなんです。
夫となった人も、そんな私に呆れ果てて、別れを切り出されてしまったんですよ。
家に戻りたかったんですけど、両親には屋敷に戻ることを許してもらえず、今はこの近くの町で一人暮らしをしてるんです。
昨日、知り合いから、ダルシャが結婚式のためにこの町に来たことを聞いて、私、最初はダルシャが誰かと結婚するのかと思って、本当に胸が張り裂けそうでした。
でも、そうじゃないとわかって……しかも、ダルシャがまだ結婚してないって知って、今度こそしっかりダルシャを捕まえなくっちゃって思って……」

「おいおい……」

ダルシャは困惑した顔で、マリエルをみつめた。



「そうね。マリエルなら良いかもしれないわね。
あなたももう若くはないんだし、この際、マリエルと結婚したらどうかしら?」

「リュシー叔母様、勝手なことを言わないで下さい!
第一、彼女のご両親がそんなこと、許すはずがない。
おじさま達は、昔から私のことを嫌っておいでだ。」

「嫌いっていうわけじゃないのよ。
ただ、うちの両親は酷く真面目な堅物だから、あなたの評判にはちょっと…ね。」

「すごいな。
あんたの女癖の悪さは昔から筋金入りだったんだ。」

ラスターがからかうように口を挟んだ。



「……ってことは、今もその癖は変わってないってことなのね?」

「あぁ、そうだ。
俺達は何年も一緒に旅をしてたんだが、その間も数えきれない程の女と……」

「ラスター!」

セリナとエリオットが、厳しい顔でラスターを睨む。



「良いのよ。
私、そんなことは気にしない。
ねぇ、ダルシャ……両親の事なら私が説得するから、結婚しましょうよ!」

「私は結婚する気はない。
これからは新たな事業を始めたりなんだりで、忙しいのでな。」

「新しい事業?だったら、人手が必要でしょう?私も手伝うわ!」

まるで諦めようとはしないマリエルに、ダルシャは呆れ顔でワインを飲み干した。



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