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「だけど、それが解除の石か願いの石かはどうやったらわかるんだ?」
「そりゃあ、願い事を言ってみればすぐにわかるじゃないか。」
「そうか…あ、でも、たとえば、遠い所に住んでる家族の病気が治るように…ってな願いだったらどうだ?
そういう場合だったら叶ったかどうかわからないじゃないか。」
「それがそうじゃないんだ。
願いが叶えられれば、願い石は粉々に壊れるんだから。」
「粉々に…!?」
フレイザーとエリオットは、声を揃え、顔を見合わせた。
「あ…あのさ、ラスター。
願い石って、見た目はどんな感じなの?」
「俺も実物を見たことはないからよくわからないが…
なんでも透き通ってて石というよりは硝子みたいなもんらしいぜ。」
その返答にフレイザーとエリオットは、放心したように立ち尽す。
「……二人共…どうかしたのか?」
「え…?あぁ、いや、なんでもないんだ。
ラスター、まさかその願い石はいろんな色があるなんてことは…ないよな?」
「もしかして、石のこと、思い出したのか?
その通りだ。
大陸毎に願い石の色が違うって話だ。」
「そんな…!!」
フレイザーとエリオットの顔からは血の気がひいていた。
それは明らかにその場にはそぐわない変化だった。
「フレイザー、エリオット、どうかしたのか?
今の話の一体何がそんなに君達を動揺させたんだ?」
「……いや、その…よくわからないけど…」
フレイザーの答えは歯切れの悪いものだった。
エリオットは口を開こうともしない。
「何か、思い出したのか?」
「そうじゃない…なんでもないんだ…なんでも…」
そう答えるフレイザーの表情は暗く沈んだものだった。
「だが、君達の態度は…」
「ねぇ、ダルシャ、そんなことより大切なのはこれから獣人の村に行くかどうかだよ。
ねぇ、セリナはどうしたら良いと思う?
ラスターの意見はどう?
ここまで来て引き返すなんて、もったいないよ。
なにか良い方法はないかな?」
今まで黙っていたエリオットがフレイザーに助け舟を出す。
「……そうだ…!
良いことを思いついたぞ!」
ラスターが深く頷きながら手を叩いた。
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