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「ジャネット…ずいぶんと食欲が出て来たんだね。」

「あぁ、やっと調子が戻って来た。
心配かけて悪かったな。」



しばらくするとジャネットもようやく元気を取り戻し、皆と一緒に食事を採るようになった。



「では、午後から採寸をしないか?」

「採寸…?」

ジャネットは、不思議そうな顔をして首を傾げる。



「君のウェディングドレスの採寸だよ。」

「ウ、ウェディングドレス?
い、いいよ、そんなもん。」

「良いって…そのままで出られるわけないだろう?」

「で、でも、今から縫ったらずいぶんかかるんじゃないのか?」

「急がせるが…まぁ、それでもひと月くらいはかかるだろうな……
なんせ、ウェディングドレスだから。」

「一か月!?それはかかりすぎだ!
私はこのままで良い。」

「そういうわけにはいかない。」

ジャネットの頭には、二つの心配事があった。
ひとつにはセリナのこと。
そんなに長い間、自分のためにセリナを待たせることに罪悪感を感じたのだった。
それと、もうひとつには自分の身体のこと。
一か月後には赤ん坊のせいで、体格が大きく変わっている可能性があった。
そうなれば、ドレスが入らなくなっているかもしれない。



「あ…そうだ!良いものがあるわ!」

「リュシー叔母様、何があるというのです?」

「ねぇ、お兄様…覚えてらっしゃるかしら?
私が連れ戻されて間もない頃…両親は、何度も何度も私に縁談を持ってきましたわよね。
それでもなかなか私がいうことをきかないものだから、お母様ったらウェディングドレスを持って来られて…
それはそれは豪華なドレスだったわ。
きっと、それを見たら、私が結婚したくなると考えられたのでしょうね。
でも、私はそんなものに心を動かされることはなかった。
それどころか、お母様が置いていかれたドレスをわざわざ送り返したわね。」

「あぁ…あれは、最高級のドレスだった。
普通の娘なら、あんなものを見たら、ぜひ着てみたいと思うだろうな。
ところが、おまえときたら…」

アンドリューの呆れ顔に、リュシーは小さく肩をすくめた。


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