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「……リュシーさん?」

「馬鹿ね!
あなた、フレイザーとずっと一緒にいて、そんなこともわからないの?
あの人は確かにちょっと変わってる所はあるけど、心根の優しい信頼できる人だわ。
あなた、フレイザーのことを愛してるんでしょう?
だったら、どうしてそんなことも信じられないの?」

「それは……」

ジャネットは、自分自身の気持ちをうまく表現出来ないもどかしさに、唇を噛みしめた。



「フレイザーはあなたの事情もすべて知った上であなたを選んだ。
あなたの人生を受け入れることを決めたのよ。
だから、生まれて来る子供が人間だろうと獣人だろうと、そんなことは彼には少しも問題じゃないの。
彼にとって、子供はどんな子であれ、宝物なの。
子供を堕ろすなんてこと、絶対に考えちゃだめよ。
あなたが育てたくないのなら、私にちょうだい!
私がその子を育てます。
……わかったわね?」

「……リュシーさん…言うことが滅茶苦茶だ……」

「私は本気よ。
だから、頑張って食べて、元気な赤ちゃんを産むのよ。
もうしばらくすれば、今みたいな気分の悪い時期も終わるから頑張りなさい。
困ったことがあったら、なんでも私に相談してね。
それと、フレイザーにも……」

「それはもう少し待ってくれ。
……心の整理がついたら……必ず言うから。」

「……わかったわ。」

ジャネットは、リュシーに向かって照れくさそうな笑みを浮かべ、大きく頷いて、先程のサラダをまた口に運んだ。
リュシーはそんなジャネットを、優しく微笑みながら見守った。


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