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「本当にお前の女癖の悪さには昔から呆れていたが、まさかこんなことになろうとは……
それで、その魔法使いには謝ったのか?
呪いはかけた本人でしか解けないという…なんとか謝って、もしも金でなんとかなるのなら……」
ダルシャは俯き、首を振った。
「それが父上……
その魔法使いは死んでしまったのです。
ですから、もう呪いを解くことは出来ません。
それで、私はエルフの里に行くことを最初に思いついたのです。」
「ば、馬鹿な!
エルフは人を食うのだぞ!
そうでなくとも、捕えられたら死ぬまで一生こき使われる!」
「実は私はそういう噂話をあまり信じていなかったのです。
知らなかったというべきか…
それに、私は剣の腕にも自信がありましたから。
いざとなれば、なんとかなると思っていたのです。
ただ、エルフが人間よりも遥かにすぐれた知識や不思議な力を持っているということだけを頼りにそこに向かいました。
魔法使いが死んだわけですから、私の呪いを解いてくれるとしたら、エルフしかいないと考えたのです。
そして、その途中で、ラスターやフレイザー、エリオットと知り合いました。
彼らもちょうどエルフの里を目指していましたから、同行したのです。」
「なるほど……それで、君達はなぜ、エルフの里に?」
アンドリューは、エリオットの方に視線を移した。
「ボク達は願い石を探しに行くために、セリナを探してたんです。」
「願い石とセリナになにか関係があるのかね?」
「私…実は、石の巫女なんです。」
「な、なんだと!?石の巫女…?
君が石の巫女だというのか?」
セリナはゆっくりと頷く。
「確かに君の髪の色は滅多に見ないものだが…石の巫女…
そんなものは伝説だと思っていた……」
「伝説じゃありませんわ。
現実にいるんです。
私は、願い石を狙う悪い奴らの所からやっと逃げ出して、そして、エルフの里に匿ってもらっていたのです。
そこへ、彼らが現れて……」
「エルフの里に……
それでは、本当にエルフは恐ろしい者達ではないのかね?」
「ええ…とても優しい人達ですよ。
でも、あまり言わないで下さいね。
怖い者だと思われてた方が、彼らも穏やかに暮らせますから。」
そう言って、セリナは小さく微笑んだ。
「あら、もうこんな時間。
それじゃあ、あとはよろしくね。」
柱の時計を見上げたリュシーは、そういうと唐突に部屋を後にする。
「……呪いに、願い石に石の巫女にエルフ……
あぁ、私は頭がどうにかなりそうだよ……」
「まぁまぁ…」
情けない声を出すアンドリューに、ダルシャはワインを差し出した。
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