37


「……おじさん、気にすることないよ。
ラスターはいつもあんな調子なんだ。」

「あぁ…わかってる。
あいつがあんな風になったのも、すべて俺のせいなんだ。
あんな所で育てたし、俺はあいつにはずっとつらくあたっていたからな…」

「どうして?
ラスターのことが嫌いだったの?」

イリアスは俯いて小さく首を振る。



「あんたらも気付いたかもしれないが、あいつはリュシーに似てるんだ。
特にあいつの目はリュシーと色も形もそっくりだ。
それを見る度に、俺はリュシーのことを思い出して、それで……」

隣に座っていたリュシーが、イリアスの手を優しく握る。



「私ね…ある時、お父様に見つかって、無理矢理屋敷に連れ戻されたの。
イリアスはお金を渡したら簡単に私のことを諦めたと言われ、私はそのことを信じてしまった。
イリアスは、私がスラムの暮らしに疲れて、自分から屋敷に戻って、貴族と結婚したって聞かされたらしいの。
それももちろんお父様の嘘よ。
私達は、お互いにそんな嘘に騙されてたの……」

「だから、俺はリュシーのことをずっと憎んでいた。
あんな小さなラスターを置いて平気で出ていくなんて、なんて薄情な女だろうって、恨み続けてた……
でも、そんなのは本当じゃなかった。
それを知った時のショックったら……」

イリアスは俯いて、唇を噛み締めた。



「もうそんなことは良いじゃない。
今の私達は一緒にいられて、その上、ラスターまで帰って来てくれた。
この人の体調がもう少し良くなったら、二人でラスターを探しにいこうと思ってたところだったのよ。」

「……そうだったの……いろいろと大変だったんだね。
でも、大丈夫だよ。ラスターもきっとわかってくれるよ!」

エリオットのその言葉に、周りの者達も大きく頷いた。




- 738 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

トップ 章トップ

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -