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「まぁ、ダルシャ…!それに皆さんも…
久しぶりね!」
「リュシー叔母様!どうしてここへ?」
リュシーは小さく肩をすくめて、くすっと笑った。
「実はね、今、ここの離れに住まわせてもらってるの。
主人が……」
「ダルシャ…!」
リュシーとダルシャが話しているところへ、険しい表情をした男性がつかつかと歩み寄る。
「……父上……ただいま戻りました。
長い間、留守にして申し訳ありません。」
ダルシャの緊張は、他の者にも感染するほどのものだった。
張りつめた空気の中、皆は、男性の次の言葉を静かに待った。
「……詳しいことはまた今夜にでも。
この方たちはおまえの友人か…?」
「はい、旅先で世話になった者達です。」
「そうか……皆さん、良く来て下さった。
私はこの家の主、アンドリューです。
ダルシャがお世話になったそうで、どうもありがとう。
自分の家だと思って、どうか、ゆっくりと寛いで下さい。」
アンドリューの意外な歓迎の言葉に、皆の緊張はさらに強まり、まともに返答の出来る者はいなかった。
「お兄様、私、彼らとはフーリシアで出会ってるんですよ。懐かしいわぁ。
……あら、あれからまたお仲間が増えたのね。」
リュシーは、見覚えのないジャネットとラスターに微笑みかけた。
「とにかく、皆さんを中へ。
さぁ、ダルシャ…ぼさっとしていないで、案内しなさい。」
「は、はいっ。」
いつもとは違うダルシャの態度に、エリオットは込み上げる笑いを必死にこらえた。
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