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「ダルシャの家ってどんな所なんだろうな?」

「きっとものすごいお屋敷だよ。
部屋数はどのくらいあるんだろう?」

「そんなこと、数えたこともないんじゃないかしら?」

「ふん、くだらねぇな。」



ダルシャの家に向かう馬車の中、様々な想像を口にして騒ぐ四人、そして、それとは裏腹に黙りこくる二人がいた。



「ジャネット…まだ調子が悪いのか?」

「……まぁな。馬車は久しぶりだから……」

「外の景色は見ない方が良いよ。
眠れたら良いんだけど……ねぇ、ダルシャ、家にはあとどのくらい?」

「……もうすぐだ。」




ダルシャの機嫌はすこぶる悪い。
何年もの間、家を留守にしてしまった手前、家を出た理由を話さないわけにはいかない。
しかし、その理由は、自業自得としか言えない恥ずかしいものなのだから……



見慣れた風景を目にする度に、ダルシャの想いは深く沈んで行く……




やがて、緩やかに速度を落とした馬車が、ようやく止まった。




「ダルシャ様、お待たせ致しました。
お屋敷でございます。」

御者が扉を開き、にこやかな顔で声をかけ、ダルシャは一言愛想のない返事をしただけで、馬車を降りた。



「うわぁ…やっぱりすごいよ。
もしかして、これ…全部敷地なのかな?」

「なぁ、ダルシャ…屋敷がいくつかあるけど、これ、全部、あんたの家なのか?」

ダルシャは直接的な返事はせず、ただ小さく微笑むだけだった。



「……とにかく、行こうか。」

馬車に気付いて駆け寄って来た使用人が、ダルシャの姿にも気付き、あたりはにわかに騒がしさを増した。



「ダルシャ様ーー!」

「ダルシャ様が戻られた。誰か、アンドリュー様に連絡を!」

次々に姿を現す使用人の数に、他の者達はただあんぐりと口を開けて、その様子を見守るばかりだった。


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