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「一時はどうなるかと思ったけど…無事に済んでよかったね。
本当におめでとう!」
「ありがとう、エリオット。」
「ここの皆も、二人のことを喜んでくれたし、認めてくれた。
俺はそのこともとても嬉しかった。」
今回は、ジュリアスの歓迎に加え、ジャネット達の婚礼の儀式があったため、朝まで飲めや歌えの華やかな宴が続いた。
朝になってようやくアルディの家に戻った皆は、一眠りする前に、居間でお茶をすすりながら気ままに会話する。
「獣人の結婚式では、誓いの言葉とか指輪の交換はないんだね。」
エリオットがそう言った瞬間、その場にいた皆の視線が注がれた。
「誓いの言葉……?なんだ、それは?」
「え……?」
エリオットは、うかつに自分の世界の結婚式のことを言ってしまったことに気付き、フレイザーに視線で救いを求めた。
「あぁ、なるほど。
結婚するにあたっての決意みたいなことを俺が言わなかったってことだな。
一生、浮気はしないとかなんとか。」
「そ、そうなんだよ!」
エリオットは大きく手を打ち、愛想笑いを浮かべる。
「浮気はしない…?
そういえば、確か、ノーランシアの人達は、浮気や離婚することを酷く嫌うと聞いたことがある。
君達はもしやノーランシアの者なのだろうか?
あるいは、ノーランシアで長く暮らしてたとか……」
「そうじゃないだろ。
二人共船に乗るのは初めてみたいだった。
特に、フレイザーはあんなに酔ったんだから……やっぱりイグラシアの者じゃないか?」
「結局、二人の記憶は戻らないままだったのか?」
「そうなんだ。
この世界を一周して、願い石は全部みつけたが、そのほとんどが双子石だったんだ。」
「なに!?この世界の願い石を全部みつけたというのか?」
目を丸くするアルディに、ダルシャはゆっくりと頷く。
「ほとんどは双子石の方だったが、みつけるにはみつけた。」
「そうか…それは残念だったな……しかし、双子石とはいえ、全部みつけてしまうとは……
あんたらは全くすごい奴らだな。」
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