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「ダルシャ…!みんな…!
ひさしぶりだなぁ!」
「ひさしぶりだな、アルディ…元気そうで良かった。
今日は、君に頼みたいことがあって来たんだ。」
・
「頼みたいこと…?
まぁ、とにかく中へ……」
ダルシャに着いて、ジュリアス、フレイザー、ジャネットが続き、他の者達は、カークと共に村を散策に出かけた。
*
「……ハイブリッドか?」
包帯を取り去ったジュリアスを見て、アルディは小さな声でそう訊ねた。
「その通りだ。」
「それにしても珍しい。
ここにも、ハイブリッドはわずかにいるが、君のようなハイブリッドは初めて見た。」
「これにはいろいろと深い事情があってな。」
「それで……彼女は?」
アルディは、ジャネットの方に意味ありげな視線を移した。
「やはり気付いたか。」
「不思議なことだが、彼女からもかすかに獣人のにおいを感じる。
どういうことだ?」
「私は……ジュリアスの双子の妹なんだ。」
「双子!?
し…しかし、君はなぜ…その……殺されずに済んだんだ?」
「それは……父さんが私と母さんを命がけで逃がしてくれたから……」
目を丸くするアルディに、ジャネットとジュリアスは、二人の出生についての長い話を聞かせた。
アルディは、二人の話に真剣に耳を傾ける。
「……なるほど、そうだったのか。
二人とも、苦労したんだな。
だが、ここではそんなことはありえない。
君も、ハイブリッドだとかそういうことは気にすることないからな。」
「え…それじゃあ……僕をここに置いてくれるんですか?」
「そのためにここに来たんだろう?」
「で、でも…僕はこんな出来……あ……」
ジュリアスは何かを思い出したように不意に言葉を止め、ジャネットの方に目を遣った。
ジャネットは、その視線に応えるように優しく微笑み頷いた。
「……どうかしたのか?」
「いえ…ただ、僕はこんなだから本当に受け入れてもらえるかと心配で……」
「こんな?他の獣人達に比べて小さいことを気に病んでるのか?
もしそうなら、そんなことは少しも関係のないことだ。
ここで大切なのは、皆とうまくやっていけるかどうか…ただそれだけだ。
俺達の数は少ない。
だからこそ、お互いが思いやり助け合っていかねばならない。
それさえ守れるなら、何も問題はない。」
「俺、頑張ります!
この村のために、獣人のために…!」
「おいおい、そう気負うことはない。
ごく普通に暮らしていけば良いんだ。
それと…ハイブリッドだということや、小柄だということを気にするな。
君が気にすれば、周りの皆も気を遣う。
俺達は同族だ。
肉親だと思って接すれば良いんだ。」
「アルディさん……」
ジュリアスは、涙が一杯にたまった瞳でアルディをみつめた。
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