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「あと少しだ。
あそこのブッシュを抜ければすぐに……」
「ダルシャ……俺……」
不意に立ち止まったジュリアスに、他の者達も同様に足を停めた。
「ジュリアス、ここまで来てまさか気が変わったって言うんじゃないだろうな?」
「そうじゃないんだけど……俺……正直、怖いんだ。
けっこう大きな村だっていうし、また…前みたいなことに……」
「あ…!!ダルシャ…ダルシャじゃないか!
それにみんなも……!」
不意に現れた獣人に、皆、あっけにとられ、ただみつめるばかりだった。
「えっと……アルディの村で会ったのかな?」
「何言ってるんだよ。
忘れたの?僕だよ、カークだよ!」
「カーク……?
カークって、まさかあのちっちゃかった…カークなのか?」
「そうだよ!」
「うわぁ、カーク!大きくなったねぇ!!」
いつの間にか同じくらいの背丈になったカークに、エリオットは思いっきり抱き付いた。
「あ…毛がもふもふしてない。
かなりしっかりした毛に変わってる!」
「どれどれ?」
ラスターやセリナが興味深げに、順番に、カークの胸や肩をなで回す。
「やだなぁ…僕はもうちっちゃな子供じゃないんだから、そんなの当たり前じゃない。
でも……みんなはあの時とほとんど変わってないね。
あれ…?新しい友達も増えたの?
あ……君は獣人だね?」
包帯でぐるぐる巻きにされたジュリアスを、カークは獣人だと簡単に見破った。
ジュリアスは、近付くカークに反射的に身を引いた。
「そうなんだ。
実は、今回は彼のことでここに来たんだ。」
「そう、とにかくまずは村に行こう。
父さん達も喜ぶよ!
さぁ、早く!早く!」
カークは、皆の方を何度も振り向きながら、村に向かって駆け出した。
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