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「良かったな……
俺も嬉しいよ。」

「憎しみを心に抱えていると、心が重い。
重い心は、本人を苦しめる。
つまり……憎しみを忘れることは、相手のためじゃなく、結局は自分自身のためなのだな。」

「……そうだな……なんとなくわかるような気はするよ。
私の心は今まで憎しみばかりだった。
それを生きる支えみたいにしてた。
でも、フレイザーに出会って…フレイザーを通じて他の皆にも出会って…
憎しみなんかなくても、生きていけるってことが少しずつわかりかけてた。
そして……今度はジュリアスに出会って……私は……ひとりぼっちじゃないんだって……
この世に血を分けた肉親がいるってことが、なんだか…自分でも驚くくらいに励まされたんだ……」

ジャネットはどこか照れくさそうに…言葉を選びながらゆっくりと自分の本心を話した。



「ジャネット……ありがとう……
こんな出来損ないの……」

「ストップ!」

「……え?」

「出来損ないは、もうやめだ。
そんなこと言ったら…母さん達がきっと悲しむ……」

「良いこと言うじゃないか!」

フレイザーは、そう言いながら、ジャネットの髪をぐりぐりと撫でまわし、ジャネットはそれを苦笑しながら払いのけた。



「ジャネットの言う通りだ。
ジュリアス…君には、父親の血も母親の血も流れている。
だからこそ、獣人らしくもありどこか人間らしくもあるわけだ。
素晴らしいことだとは思わないか?」

「そうか…そんな風に考えたことなんて一度もなかった。
……うん、そうだよな。
俺には、どちらの血も流れてるんだ。
だから……
うん、わかったよ、俺、もう自分のことを出来損ないだなんていうのはやめる!
それから、ダルシャ……俺を獣人の村に連れていってくれ。
俺はありのままを話すよ。
それで受け入れられなかったら……」

「そんなことはありえない。」



自信に満ちたダルシャの言葉にジュリアスは微笑み、ゆっくりと頷いた。


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